• "日本農業"(/)
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  1. 宮城県議会 1975-09-01
    09月30日-02号


    取得元: 宮城県議会公式サイト
    最終取得日: 2023-06-18
    昭和50年  9月 定例会(第167回)    第百六十七回宮城県議会(定例会)会議録                     (第二号)昭和五十年九月三十日(火曜日)  午後一時四分開議  午後四時三十分散会議長                     木村幸四郎君副議長                    渡辺健一郎君出席議員(五十六名)     第一番               山田 元君     第二番               菅原保雄君     第三番               金沢哲男君     第四番               中村健一君     第五番               佐藤清吉君     第六番               佐藤寅之助君     第七番               亀谷博昭君     第八番               佐藤儀左エ門君     第九番               斎藤 堯君     第十番               舘股 巴君    第十一番               遠藤雄三君    第十二番               飯塚森雄君    第十三番               櫻庭健朔君    第十四番               三上良喜君    第十五番               金子哲郎君    第十六番               沖 直子君    第十七番               石黒達也君    第十八番               錦戸弦一君    第十九番               後藤三郎君    第二十番               安住仁太郎君   第二十一番               和田鉄夫君   第二十二番               米沢清勝君   第二十三番               須藤正夫君   第二十四番               大沼茂三君   第二十五番               小野寺信雄君   第二十六番               文屋 公君   第二十七番               野口考吉君   第二十八番               佐々木敬一君   第二十九番               畠山 孝君    第三十番               菊地辰夫君   第三十一番               木村幸男君   第三十二番               猪股春雄君   第三十三番               曽根冨二男君   第三十四番               坂下清賢君   第三十五番               田畑忠雄君   第三十六番               奥山紀一君   第三十七番               高橋富士男君   第三十八番               杉岡広明君   第三十九番               佐竹二郎君    第四十番               吉田泰男君   第四十二番               斎藤 惇君   第四十三番               佐藤常之助君   第四十四番               桜井亮英君   第四十五番               門馬重義君   第四十六番               斎藤栄夫君   第四十七番               星 長治君   第四十八番               阿部 蕃君   第四十九番               武藤洋一君    第五十番               小林仁司君   第五十一番               渡辺健一郎君   第五十二番               佐々木照男君   第五十三番               木村喜代助君   第五十四番               佐々木源左エ門君   第五十五番               平野 博君   第五十六番               千葉松三郎君   第五十七番               木村幸四郎君欠席議員(一名)   第四十一番               森  康君    ------------------------------説明のため出席した者      知事               山本壮一郎君      副知事              大槻七郎君      副知事              石井 亨君      出納長              渡辺鉱助君      総務部長       事務吏員  羽田光雄君      企画部長       事務吏員  鷲尾 潔君      生活環境部長     事務吏員  佐藤卓郎君      民生部長       事務吏員  千田敬司君      衛生部長       技術吏員  茂庭秀高君      商工労働部長     事務吏員  麻生卓哉君      農政部長       技術吏員  高橋元三郎君      水産林業部長     事務吏員  田村一夫君      土木部長       技術吏員  土肥春夫君      出納局長       事務吏員  佐藤幸紀君      総務部次長財政課長 事務吏員  鈴木 淳君      総務部秘書課長    事務吏員  草刈長治君      公営企業管理者          高橋善悦君  宮城県教育委員会      教育長              津軽芳三郎君      教育次長             高橋 章君  宮城県選挙管理委員会      委員長              木村 強君      事務局長             小川善次郎君  宮城県人事委員会      委員長              大泉吉郎君      事務局長             赤倉 満君  宮城県公安委員会      委員長              加藤多喜雄君      警察本部長            神川誠太郎君      警務部長             宮崎 喬君      総務室長             伊藤忠雄君  宮城県地方労働委員会      事務局長             佐藤 章君  宮城県監査委員      委員               今泉徳衛君      委員               木村要蔵君      事務局長             相原末治君    ------------------------------  宮城県議会事務局      局長               中村信男君      次長兼総務課長          佐藤豊之助君      参事兼議事課長          飯塚登喜夫君      調査課長             本田 浩君      総務課長補佐           武田 寛君      議事課長補佐           新沼四朗君      調査課長補佐           佐藤富夫君      主幹               今野裕敏君      議事係長             並木孝氏君      記録係長             藤田雄英君      主事               佐藤 昭君    ------------------------------    議事日程       第二号            昭和五十年九月三十日(火)午後一時開議第一 会議録署名議員指名第二 議第九十四号議案ないし議第百十五号議案並びに報告第六号及び報告第七号第三 一般質問曽根冨二男君・中村健一君・斎藤 堯君・亀谷博昭君〕    ------------------------------    会議に付した事件日程第一 会議録署名議員指名日程第二 議第九十四号議案ないし議第百十五号議案並びに報告第六号及び報告第七号日程第三 一般質問曽根冨二男君・中村健一君・斎藤 堯君・亀谷博昭君〕    ------------------------------ △開議(午後一時四分) ○議長(木村幸四郎君) これより本日の会議を開きます。 本日の議事日程は、お手元に配布のとおりであります。    ------------------------------会議録署名議員指名 ○議長(木村幸四郎君) 日程第一、会議録署名議員の指名を行います。会議録署名議員に二十番安住仁太郎君、二十一番和田鉄夫君、両君を指名いたします。    ------------------------------ △諸報告 ○議長(木村幸四郎君) 御報告いたします。監査委員からお手元に配布の写しのとおり、例月出納検査の結果の報告がありました。 教育委員会委員長佐藤茂君は、病気のため欠席する旨の届け出がありました。    ------------------------------ △議第九十四号議案ないし議第百十五号議案 △報告第六号 △報告第七号 △一般質問 ○議長(木村幸四郎君) 日程第二、議第九十四号議案ないし議第百十五号議案並びに報告第六号及び報告第七号を一括して議題といたします。 ただいま議題となつております各号議案についての質疑と、日程第三、一般質問とをあわせて行います。 質疑、質問は順序に従いお許しいたします。三十三番曽根冨二男君。  〔三十三番 曽根冨二男君登壇〕 ◆三十三番(曽根冨二男君) 私は財政問題を中心に大要三点に分け、最後に開発問題について具体の問題を一、二ただしたいと思います。 私はまず第一に、今日の地方財政の危機の要因をどのようにとらえるかについてその見解を述べ、知事の所信をただしたいと思います。直接的にはインフレと不況によつてつくり出されていることは言うまでもありません。今回また初めてのものでもないし、一時的な現象でもないのであります。これまでもたびたび地方財政危機が言われましたし、また極端に財政が悪化していない時期であつても決して余裕のあるものではなかつたはずであります。いわば危機は慢性的なものであり、体質化されていると、このように私は言えると思います。このような慢性的な体質構造が、この二、三年のまさに異常なインフレと不況の極度の経済情勢、異常な経済情勢の中で、いままさに地方財政の危機が訪れたんだと、このように理解をしております。地方財政の危機の本質と問題点を要約すれば三つになると思います。その第一の問題点は、国並びに地方を通じて一貫してとられてきた大企業優遇の税制と、国に片寄り過ぎた税源配分によつて地方の財政の中に占める、いわゆる地方税収入が減少の一途をたどつてきているということであります。第二には産業基盤整備、いわゆる大企業奉仕公共投資拡大のため各種の補助金制度の仕組みの中で地方財政をも動員をしてきたということであります。そのために生活関連の国庫補助が極端に釦り詰められ、自治体の超過負担が著しく増大し、加えて機関委任事務費生活関連のいろんな施設運営費のいずれもが超過負担の累積を加速化されてきたのであります。第三には、言うまでもなく上下水道、あるいは都市交通、公立病院など、生活関連のサービスを供給する地方公営企業独立採算制の枠の中に押し込められ、インフレのあおり、過密過疎の集中、分散政策で赤字が累積し、料金改定でもなお追いつかないという現状を繰り返しているということであります。このような三つの構造的な欠陥、こういうものはいまさらのものではありません。昭和二十年代、三十年代、四十年代にそれぞれ二度ならずあつた財政危機のたびごとに、慢性的危機を構造的に改めることなく、むしろ中央政府の主導のもとに何がしかの財政対策と引きかえに自治が狭められ、政府への従属化が強められ、体質的、慢性的危機が助成されることが繰り返されてきたのであります。私たちは地方財政が自主性を失い、財源不足に追い込まれ、県民の要求や職員の生活不安にもこたえることができない、この今日の置かれている地方自治の危機を深刻に受けとめ、これまで国がどのような対策をとり、それが地方財政に、地方自治に何をもたらしたかを振り返つてみることによつて、いまこそ民主政治の大事な土壌である地方自治とは何かを厳しく問い返すときだと信ずるのであります。知事の所見をお伺いします。 第二には、五十年度の地方財政緊急対策と、国と地方とにかかわる財政制度、構造的な改革の施策について知事の見解と、その実現の方途についての所信をお尋ねをしたいと思います。予算説明の中で、知事は年度内対策として地方税減収に対する補てん、地方債枠の払大、超過負担の解消など緊急措置を強く要請すると言われております。賛成です。その見通しはどうなのでありましようか。また法人税など国税三税の落ち込みによる交付税の減額の穴埋めは、無条件完全な穴埋めが保障されているのかどうか、この機会に確かめたいのであります。あの四十六年、四十七年のような地方交付税を貸し借りの勘定にするような、そういうことはないのかどうか。また更に当面問題になつておりますところの地方公務員の給与改定に伴う地方交付税の再算定を行わせ、財源措置をもあわせて政府に強く要求すべきであると思います。更に政府直轄の公共事業については、今後も追加されるものも含めて全額政府にこの負担を負わせるのが当然であると思います。三兆円以上の赤字国債を発行しているのであるから、なおさらのこと強く政府にその実現を迫るべきであります。 次に、五十一年度以降の恒久的な、長期的な行財政制度の構造的な改革の施策として、私はまず第一に、自治体の財政自主権を確立する、そのために自治体の自主的な課税権限を拡充強化することを強く求めたいのであります。この中には具体的に言えばそれぞれ問題点は幾つかありますけれども、例えば法人事業税超過課税、黒字のときには黒字なりの、またたくさんの内部留保をさせながら、その黒字に課税をする。赤のときには全く法人均等割しか払わないという、こんなばかげた仕組みを改めることが、どうしても地方財政の立場から必要であります。したがつて生産規模、あるいは資本構成、こういうものによつての大企業法人に対するところの外形課税をやはりこの際私は県の段階でも、むろん国とのいろんなかかわり合いもあると思いますけれども、これが実現を目指して努力すべきであると思います。むろん大企業法人固定資産税超過課税、あるいは個人の住民税の累進性、低額所得者には低く、高額所得者には累進性を強めるという、こういうふうな内容をもつた課税方式が可能なように、更には自衛隊の基地であるとか、高速有料道路であるとか、こういつたものに対する自治体としての課税が可能なように、更には県当局でもいろいろ検討されているようでありますけれども、マンシヨン、別荘、遊休地、あるいはヨツト、マイカー観光、更には事務所事業税の中小都市への波及、こういつた問題について私は自治体の自主的な課税権の強化の一環として、強く実現なり具体化を望みたいのであります。その第二は、超過負担の全面的な解消であります。特に福祉、教育、行政面での政府の行政責任を明確にさせ、その負担を人件費、事務費でも完全に行わせる必要があります。また特に警察関係の施設、人件費の超過負担は最高を示しているのであります。この辺にも十分留意されて解消に努力をすべきであると思います。第三には、知事も言われているように、国並びに地方を通ずる事務、事業や、税財源の再配分であります。ここでは何よりも先に国税法人税におけるところの租税特別措置法の措置の廃止を強く私は求めなければならぬと思います。そして全体として大企業優遇の税制を改め、資産と所得に重点を置いた改革を求めない限り、地方税の確保は常に不安定であり、地方財政を基本的に立て直す道はないと思います。このような観点から現在の法人所得税の配分率を少なくとも国、地方の五・五の割合にする。あるいは個人所得税の現行の国の税配分をこれまた五、五にする。あいは今日いろいろ問題になつているところのガソリン税の地方移譲についても、今日のような地方譲与税として特定のものにひもをつけないで、一般の生活道路、都市交通、あるいは都市計画等、十分にそれが地方が自主的に使えるような仕組みにして、その財源の割合についても国、地方それぞれ五、五の割合に当面私はさせる必要があると思います。むろんそのほか地方交付税の率の引き上げ、あるいは補助事業の率の引き上げ、起債の許可制をもつと改革する。大蔵資金運用部資金をもつともつと地方財政のために低利で長期に使わせるという、こういつた財政対策も必要であることは言うまでもありません。このような諸点について知事の考えをお尋ねすると同時に、これらの制度上構造的な改革の実現、そして当面の緊急施策の実現を私ども初め知事自身も不退転の決意をもつてあらゆる方法を講じていくことが、今日この危機を乗り切る道であると思います。六月議会で申し上げましたけれども、全国知事会が率先提唱して全国の自治体、各級議会を結集し、政府と国会、各政党に対して全国的な規模での政治運動を、いま開かれている臨時国会から来年度の予算編成期に向けて展開をすべきであると思います。かくしてこそ県民は地方自治、当面している地方財政の危機を正しく認識し、これを支持していくことは間違いないと思います。まさに県民総参加の県政をよみがえらせることと私は確信をいたします。知事の決意と実現の方途についてお尋ねをしたいと思います。 質問の第三は、これまで、またいまでもなおとられようとしておりますけれども、産業優先の政治姿勢について改めてもらうということであります。五十年度政府一般会計を見ましても、産業関連に六、生活関連に二、国土保全に二という行政投資の割合が示すとおりであります。これを少なくとも当面、それぞれ四、四、二に私は改めさせることがどうしても最低限必要であると思います。そのためには都道府県での産業基盤投資を思い切つて選択的に抑制することが必要であり、市町村も県と共同で福祉と生活環境公共投資を拡大していくことが基本姿勢として求められますけれども、知事の所信をお尋ねいたします。また、今回県の予算補正の基本方針として既定の行政経費の節減、県単独事業の大幅な繰り延べ、その他財産収入の増高などによる一般財源をぎりぎり生み出して、政府の言う景気浮揚対策の目玉である直轄及び一般公共事業に補正財源の八〇%を投入されたと言つております。財政効率のよい公共事業にほとんど全部の財源を投入したということは、完全にこれまでのパターンに従つて政府の言いなりになつたとしか考えられないのであります。私は特に次のことを知事に強調したいのであります。一体いまの、現在の不況は、政府が最近とり出した総需要抑制によつて直接導かれたものなのでしようか。私は「ノー」と答えます。先にもインフレと不況の要因を述べましたけれども、思い新たなあの狂乱インフレによつて国民の実質消費生活力は空前の落ち込みを示しております。そして今日なお容易に回復されていないのであります。これが今次不況の最も特徴的な要因であります。したがつて政府の大企業奉仕景気刺激策としての総需要をむしろ抑制をし、自治体が主体となつて実施する福祉生活関連の公共投資を計画的に促進させるときではないでしようか。事実宮城県の四十八年度の行政投資中、産業関連は約九百八十三億八千万、生活関連は五百三十億二千三百万で、いかに生活関連投資がおくれているかを如実に示しております。これは自治省の統計であります。また今回の補正に当たつて県単独事業の既定予算を削減してまで公共事業を一〇〇%消化するという、そのぐらいのことをやるくらいなら、むしろ既定予算化されているところの国の直轄事業の負担金約二十七億円を国にこれを負担させるか、その支出を明年度以降に繰り延べるか。特別の起債を認めさせるかして県単事業の繰り延べはやるべきではないと私は思うのであります。この機会に繰り延べを思いとどまつて、せめて十二月議会でも復活補正を私は強く望みたいのであります。また政府の自治体への数々の押しつけが仮に改められないときは、政府の委任事務あるいは直轄の公共事業、これらの一つや二つの事業や事務の返上があつてもよいくらいであります。このようにしてこそ県民の生活を守るため、このような手段をとつてでも自衛の対策として私はこれから必要になつてくると思うのであります。知事の決意のほどをお伺いいたします。 なお、この機会に今回繰り延べられた事業や、あるいは先般来発表されました三カ年のいわゆるローリングシステムによる実施計画で、予定されている県単事業の推進の見通しをお尋ねをしたいと思います。 質問の第三は、県の県政運営の基本方針と行財政の具体的な施策について、若干の提言を含めて知事の所見をお尋ねします。これまで述べてきた私どもの意見を県政の場に集約して申し上げれば、その第一は高々度経済成長を基本にしての新しいふるさとづくりを目指した宮城県長期総合計画は、その基本を全面的に再検討すべき条件下にいまきていると思います。そして県民福祉、生活環境、農漁業、中小企業を中心の県政に改めていくことであると思います。したがいまして、私はこれまでの工業化中心の投資、民間デベロツパー導入による開発誘導、これらのテンポを少なくとも二分の一に減速させることが必要であると思います。政府の第三次総合開発計画構想においても六%程度が予想されております。旧来の約半分であります。第二には県民福祉、県民サービス、いわゆる生活環境、あるいは都市づくり、こういつた市民的な最低限度の要求を満たす基準、いわゆるシビル・ミニマム、こういうものを県民とともにつくり上げ、さまざまな県民の要求を行政の中でこれを指標化して、県民サイドから県政を実現する。そしてどれだけの費用とどれだけの財源が必要なのか、その財源を国にどこまで求め、県及び市町村、住民がどのような負担をすべきなのか。こういう観点から、いわゆる新しい自治の原点に立つた県政運営をこれからの基礎とすべきであると思います。そして当面の財政方針につきましても、単年度ごとの事業計画、また現在のような不確定なローリングシステムによるところの三年ごとの見直しではなくて、福祉、生活環境、あるいは地元産業基盤整備の計画を少なくとも予算上、財政上では三年ぐらいの中期的な財政計画を着実に立てて、できる限りこういう情勢でありますから計画的、継続的にそれぞれの行政指標事業目標を達成していくという新しい財政運営を私は提案したいのであります。第四には、今日地方公務員の人件費が高い、国家公務員並みにしろと、政府はヒステリツクなくらいまで介入、干渉しておりますが、国の行政実務の七〇%を地方自治体に担当させている、このような国の職務と、国家公務員の職務と地方自治体の職員の職務の違いはその規模において、質において全く異質なものであります。本来の自治体の仕事もあわせて担当しているのであります。ラスパイレス方式などと政府に都合のよい統計方式を採用して画一的に給与費を抑えようとしています。しかも教員、警察職員、福祉関係施設職員など、満足にその手当もしないで増員だけをさせている現状ではないでしようか。人件費は四十九年度実績で政府職員の場合一人当たり人件費単価は二百九十一万円(年間)、自治体職員は二百五十四万円であります。人事院勧告が民間給与との比較で勧告している給与改定を抑えることに意を用いるよりも、政府に対して、また県民に対しても説得、理解を求め、人事委員会勧告の完全実施を私は強く求めるものであります。人事委員会第三者機関として公正な態度で毅然とした勧告を急ぐべきであると思います。私はむしろこれからの県政を担当する職員各位にも、県民の福祉と生活環境づくりのため率直な提言と協力を求め、県民の期待にこたえ、今日の情勢に耐え得る県政の担い手になつてほしいと期待しているものの一人であります。知事はこのような立場に立つて県行政機能、職員の配置を見直し、福祉、保健サービス環境、公害、消費者行政、最近特に問題になつている開発、土地行政、あるいは住宅建築行政、生活環境整備、中小企業指導など、あるいは税務行政のきめの細かい体制の確立など、いわゆる現業第一線で県民との直接かかわり合いをもつ行政分野に可能な限りの職員を集中し、また企画管理面でもできるだけその総合性を発揮するような機能を、この際今日の情勢に対応した行政機能として検討を急ぐべきであると思います。このようにしてたとえ施設のでき方が計画的、継続的なものであつても、対人サービス、行政事務の迅速化など、県民各層が手の届くところで県政を身近に感ずるようなそういう行政をすることこそ、今日の状況の中で考えるべき第一の課題であると思います。かくしてこそ行政と県民の連帯感が出てくるものと私は信じます。第五には、行政経費の節減はもとより必要であります。むしろこの機会に県政の数々の委託業務のあり方、助成金、補助金のあり方の見直し、更に民間企業に対する十億円を超える出資投資の見直し、こういうものを一定の基準によつて行うことが必要であると思います。更に成長時代に続々と設立をされました、いわゆる公社、公団など特殊法人についてもずいぶんと整理統合されなきやならぬ課題が私はあると思います。改めて県行政とのかかわり合いについて再検討されるべきであると思います。 以上、財政上の諸問題について県政の基本、具体の財政問題についてお尋ねをいたしました。知事の率直なる見解なり所信をお尋ねをいたします。 最後に開発行政の具体的な問題について二、三簡潔に伺います。 まず第一に、現在調査検討を進めている都市計画法に基づく五年に一回の線引き変更に絡んで、鳴瀬町の調整地域の土地取得と開発計画が刑事事件として捜査されているのでありますが、用地の買い占め、あるいは開発計画について県が事前に承知されていたと思います。いかなる指導と規制をこれまで行つてきたのか。また今後該当地域についてどのような所見をもつて臨もうとされているのか。まず第一にお尋ねをします。 第二は、仙塩広域都市計画の中で、特に泉市周辺の山林など調整区域を既に一千ヘクタール以上も一企業で買い取り、一部は開発許可で団地化されているところもありますが、またほかにも公共団体、民間業者の開発予定もかなりあるようであります。これらに対する県の基本方針をただしたいわけであります。泉市は御承知のとおり、急増の著しい都市として、交通、教育、上下水道など、行政需要はいまもつて追いつかない状況下にあります。そして仙台市への車の流入、仙北地方への車の交通も、今日ようやくにして四号線の暫定三車線によつて、一応のやつと一息という状況にいまあるわけであります。したがつて民間企業の大規模開発は、これを認めるべき時期ではないと私は考えます。たとえ従来の行きがかり上編入せざるを得ない事情があつたにせよ、今日の経済情勢、地方財政の事情から、生活環境条件の整備が容易でないことを考えるとき、この際公共団体若しくはそれに準ずるもの、あるいは地域振興上特定のものに限つて線引き変更の基本にすべきであると考えます。 第三には、特別名勝地域であり、また鳥獣保護地域でもある松島町--一部鳴瀬町にまたがりますけれども、この地域に、当時特別に認められた松島開発株式会社の手による、いわゆるパークゴルフ場建設問題についてであります。当初の用地取得をした根府川山林開発会社は既に四十八年八月倒産をし、その後更に二、三の業者との買い取り契約があつたやに聞いておりますが、いずれもものにならず、現在はT建設が土地の所有者になつているそうでありますが、ところがゴルフ場経営の主体である松島観光開発は、四十九年末において事実上みずから倒産の宣言をし、このゴルフ場経営から手を引くことを既に会員権を取得された会員の方々千数百名に対してこれを明らかにしております。そして会員にも事後の措置について選択を問うたそうであります。県の幹部職員もかなり買つておられるということを伺つておりますけれども、そこで、聞くところによると、このパークゴルフ場の事態の収拾といいますか、最後の引き取り先といいますか、そういうものが先に指摘をいたしました泉市の大規模ニユータウンの開発を予定している、いわば線引き変更を希望している某大手業者がこのゴルフ場の土地を引き受け、事実上の経営主体になると聞いております。松島観光開発会社にかわるところの新しい会社の設立世話人会が最近発足したとのことであります。泉市の線引き変更との何らかの絡み合いがあるのでしようか。問題は、県の文化財保護委員会が当時現状変更の許可をいたしました。そして今日、土地の所有者が何度もかわり、開発の主体である経営主体がかわり、この間環境保全条例、環境保全法等、あるいは土地利用法等、新しい法律がどんどんできているのであります。この機会に私はこれらの新しい情勢、これまでのいろんな複雑な経過というものを考えて、問題を白紙に返して検討し直すべきであると思います。いろいろこの問題については、県においても何かの後始末として苦労されているようでありますけれども、私はこの際知事の勇断をもつてこれらの問題を白紙に還元して改めてこの用地の利用、並びにこれらの最終的な始末についての方途を見出されるよう希望いたしまして、私の一般質問を終わります。 ○議長(木村幸四郎君) 知事山本壮一郎君。  〔知事 山本壮一郎君登壇〕 ◎知事(山本壮一郎君) ただいまの曽根議員の御質問にお答えを申し上げたいと存じます。 主として現在我々が直面いたしております深刻な地方財政危機の原因並びにこれが解決の方策につきましての御意見あるいはまた御提言でございます。基本的に私も同感をいたす分野が多いのでございます。まず今日の財政危機の原因でございますが、これは内外の状況、原因からくるいまの深刻な不況なり、あるいはまたここ一両年続いております異常なインフレ等々が直接の引き金になつたことは御承知のとおりでございます。しかし一方におきまして、かねがねこの議場でも申し上げておりますように、地方の自主財源の強化、税の問題、交付税の問題、あるいは起債の問題等々含めまして、私どもは地方の自主的な財源を強化することによりまして、自治の機能そのものを高め、強めてまいりたい。こういう願望、要望をかねがね持ち、またそのためにいままでも努力をいたしてまいつたつもりでございます。ただ、いままで続いてまいりました高度成長の時代、それはそういう中で毎年毎年税の自然増収がかなりある。そういうことで何とかそれぞれの時代の要請にこたえられてきた。したがつてなかなか本質的な問題が解決されるような環境が生まれてこなかつたと--結果的に言えるかと思うのでありまずけれども、いまやこういう状況の中で、地方の財政のもつ体質的な問題点が非常にはつきりクローズアツプしたわけでございますので、こういうタイミングにこそ、こういう時期にこそ、私どもがかねがね国に対して要望し、かつ果たせなかつた諸点につきまして、お話しのように地方の六団体、全国の自治体が一致協力いたしまして、この自主財源の強化の実現に努力をいたしてまいりたい。そういう決意でもつてこの難局に当たつてまいるつもりでございます。 そこでとりあえず緊急、つまり本年度内にどうしてもやつてもらわなければならない措置があるわけでございます。お話しがございましたように、一つは地方交付税が予算の計上額に比べまして、恐らくこれは一兆円近く落ち込むはずでございます。--国税の三税の減収が。これはどうしても完全に補てんをしてもらわなければどうにもならない。もう一つは地方税の減収に伴う財源の欠陥があるわけでございます。これも特に法人の二税を中心にいたしまして、単なる標準税収として当然計算上考えられるものより以上に、つまり我々としては税収の十分の八が計算されておるわけでありますけれども、少なくとも地方財政計画に見積もりました標準税収というものを、まるまる補てんさすべくいま交渉中でございますが、これらの点につきましては今後なお一層の努力をいたしてまいらなければならぬと思います。 なお公務員の給与の財源でございますが、御承知のように地方財政計画上は、本年度の計画としては、それぞれの地方の団体で九%分ぐらいのものは計算されておる。これは県といたしましては交付税と税の伸びと両方を計算上は留保しておつたわけでございますけれども、いま交付税は一応計算上ほとんど計上してしまつている。現に税収の減収が大きい。こういうことで今後どういう勧告が人事委員会から出されますかわかりませんが、非常に国家公務員の給与改定のあの数字等をもつていたしますと、非常に困難な、むずかしい事態にあるわけでございますので、これらにつきましての国の財源措置なり、もう一つは勧告の内容等見まして、今後慎重に検討を加えてまいりたい、かように考えておる次第でございます。 そこで、今後の恒久的な構造的な改善対策としましては、お話しがございましたように自主財源、特に税収の税源の強化、これが当然第一点に上がつてこようかと思います。そういう中で今日のような法人税のあり方では、非常に好・不況の影響を大きく受けまして、安定的な地方の財源としては不十分な点がございますので、外形課税的な要素を加えるべきであると、これは我々かねがね強く主張いたし、たしか地方制度調査会でもそういう方向が出ております。また国会におきましてもそういう議論、たしか何かにそういう附帯決議がついたように記憶いたしております。ぜひそういう方向で地方の安定した税源としての確保をいたしたい。その他こういう事態になりまして、県独自の税源等につきましても、いろいろとただいま鋭意検討、勉強中でございます。適切なものがあれば実現に努力をいたしたい、かように考えておる次第でございます。 それから第二点は、これもたびたびここで議論になりましたように、超過負担の完全な解消をぜひ図らなければならないという意見、これは四十九年度、五十年度で一応数字の上では千二、三百億ずつの解消はされておるはずでございますけれども、まだまだ多額の超過負担が残つております。これらを完全に解消さしていくと。それからもう一方におきまして、ぜひ私は手をつけなければならないと思いますことは、国から税源をよこせ、よこせと、こういう主張ももちろん必要でございますけれども、国自体がことしは御承知のような非常な大幅な赤字を抱えておりますので、やはり国もこれから安定成長時代になりますと、いままでのような税収は期待できないと、地方においても同様であるとすれば、国と地方の事務、事業をやはりこの際再配分、再検討いたしまして、お話しがございましたように、住民に身近な仕事、福祉の仕事でありますとか、あるいはまた生活環境の整備でありますとか、そういうものはできるだけ地方に任す、そうして行政の効率を上げていく、それに必要な財源を思い切つて地方に移譲する、こういうことにならなければ国も金がない、地方も財源不足である。そういう中でいままでの事務のやり方、国と地方の事務の分担をそのままにしておいては本質的な解決はできないであろう。こういう際にこそ、私はこれまでたびたび議論をして実現してなかつたこの問題、国の出先機関の問題を含めまして、強くその改善方を図つてまいるつもりでございます。 なお、現在の税制に改善すべき余地がいろいろあることも御指摘のとおりでございます。たとえば租税の特別措置等々の問題につきましても、いわゆる社会的な公正を確保すると、こういう国民一般の要望にこたえる意味におきましても、勇断をもつて是正をすべきものは是正するような措置を政府もいまやとろうといたしておりますけれども、ぜひそういう点の解決もあわせて図つてまいらなければならないと思います。なおいろいろお話しがございました地方にふさわしい税源の獲得、制度的な問題、また県の努力でできる問題、いろいろございますので、今後もお知恵を拝借しながら議会の皆様方の御協力をいただきながら努力をしてまいるつもりでございます。なお地方交付税の税率等につきましても、いまや現在の税率ではどうにもならない、こういう事態でございますので、これが増額の問題、改定の問題もあわせて今後の財政構造の解決の大きな課題であろうと存じます。いずれにいたしましても、ことしの財政状況は、先般も申し上げましたように、我々といたしましても、かつて経験したことのない厳しい事態を迎えております。国に補てんを要求すべきもの、あるいは財源の措置を要求すべきものは要求してまいるつもりでございますけれども、我々も自治体として一つの経営体を運営いたしておるわけでございます。特に今後高度成長から安定成長の時代に入る、いろいろと制度を改善いたしましても財源にはおのずから限界がある、こういうことになるわけでございますので、よほどいろんな事業の選択を厳しくやつていく必要があろうかと思います。そういう意味で住民の皆様方にもよく御理解をいただきまして、自治の原点に立ち返つた運営をいたしてまいるつもりでございます。 なお、産業優先の姿勢を改めよ、こういう御指示、御意見がございましたけれども、私どもはかねがね申し上げておりますように、言われるがごとき産業優先--産業さえ盛んになればいいと、こういう考え方は県政の中で毛頭持つておりません。あくまでも本県の立地条件、あるいは持つております特色、あるいは歴史、伝統、そういうものを生かしながら、そこで大ぜいの方々が生涯を過ごしていただくためにはどのような地域づくりをしなければならないのか、こういう観点に立つた県の長期計画をもつておるつもりでございます。それに向かいまして毎年議会の御援助をいただきながら努力をいたしておるつもりでございます。特にそういう中で福祉、あるいはおくれております生活環境の整備を優先的に取り上げてやつてまいつたつもりでございます。ただ福祉や教育、あるいはまた生活環境の整備を進める上におきましても、やはり自治体としての力が必要であることはこれまた、間違いのないところでございます。そのために必要な産業基盤の整備、あるいは産業そのものの振興、これを取り上げておるのでございます。産業優先であると、こういう考え方の県政はやつてないつもりでございます。同時に今日のように非常に不況が深刻化してくる、こういう中でやはり当面急がれますのは、何としても県の財政を支えます、あるいは県民の生活を支えております景気を回復さしていくことである。そういう考え方から、今回の予算におきましては、とりあえず直接、また短期的に効果の上がる公共事業をできるだけ消化をいたしたい、こういう補正予算をお願いいたしておるのでございます。この点につきましては、既に議会の中で設けられております不況対策特別委員会の皆様方から、先般特に御注文がございまして景気対策の公共事業、また中小企業の金融対策、更には保証の仕事、こういうものを重点的に取り上げるようにと、こういう御意見に従つたつもりでございます。 なお県の長期計画でございますが、今後日本の経済がどういう速度で伸びていくのか、あるいはまた、そういう中で宮城県や東北地方はどれだけのシエアを占めるのか、引き受けるのかと、こういう点がいまのところまだ明らかな数字となつて出てまいつておりません。私は前々申し上げておりますとおり、また先ほども申し上げましたとおり、あの長期計画の考え方、目標そのものは、この時点におきましてもいささかも変更する必要はないと考えておりますけれども、これが達成するいろんなタイムスケジユール、その他につきましては、今後の日本の経済の動き、また本県におきます経済の成長等々と関連いたしまして、その点につきましては再検討を加えてまいらなければいけない、かように考えております。なおシビルミニマム的な指標化等につきましても、いま申し上げましたような意味におきまして、あの計画でも、いわゆる住みやすさの指標というものを掲げまして、これまでとかくGMPあるいは一人当たり県民所得、つまり産業や経済の大きさ、これだけで開発をはかつてまいりました考え方を改めまして、かなりの多くの項目の住みやすさの指標、こういうものを掲げておるつもりでございますが、これらを更に具体化し、きめ細かいものにして県民の皆様にもお示しをできるように努力をいたしたい。なお現在ローリングで三年ごとの事業実施計画の見直しをいたしておりますが、今後厳しい財政の中でいろんな事業、特にお話しがございました生活環境なり福祉の事業等についての中期的な財政の計画というものも、ひとつ指標としては必要ではなかろうかと存じますので、これらにつきましても今後検討をいたしてまいるつもりでございます。 なお人件費につきましては、先ほど申し上げましたが、ラスパイレスというのは一つのめどであつて、ラスパイレスがイコールでなければならないと、そういう考え方は私は持つておりません。しかしさつきも申し上げましたように、県というものが存在し、その中で人件費、事業費等々県民へのサービスをいたすわけでございますが、限りのある財源の中で人件費が余り大きなシエアを占めまして直接県民へのサービスが十分でなくなる、こういうことになれば、一体県民はどういうふうに県政を評価されるであろうか、こういうことも考えなければならないのでございます。現在庁内にこういう点を勉強いたします特別の委員会もつくつております。そういう中で十分これらのあるべき姿を見出していきたいと思います。特にことしの緊急の課題としての財政危機を何とかして乗り切つてまいりますには、県民の皆様方にも、はなはだ心苦しいことではございますけれども、いろいろと御迷惑をおかけし、がまんをしていただかなければならない。そういうつらい立場にございますが、同時にまた、これまた忍びないことではありますけれども、いろんな経費の節減の問題、あるいは人件費の問題等々におきまして、県の職員にも歯を食いしばつてもがまんをしてもらわざるを得ない羽目が出てこようかと思います。こういう点は賢明なる県の職員であると私は確信をいたしております。なおそういう中でこそ本当に自治の機能、役割りを県民に対する親切な行政サービスによりまして、より一層士気を高め効率を上げていく、こういう努力を今後もいたしてまいるつもりでございます。 なお補助金等々の御指摘がございましたが、これらは先ほど申し上げました庁内につくつております委員会、その他大ぜいの皆さん方のお知恵をかりながら厳重な見直しをいたしまして、当面この危機を切り抜けますと同時に、来たるべき安定成長時代におけるあるべき県政の展開に備えてまいりたい、かように考えておる次第でございます。 それから都市計画の線引きにつきましては、ただいま建設省と事細かに連絡をとりながら担当の部局でその作業を進めておるところでございます。問題になりました野蒜でございますか、鳴瀬町の買い占め開発計画等にどう指導したのかと、こういう点でございますけれども、それぞれの市町村におきまして、それぞれの住民の幸せを考えながら開発の計画は私はもつことは、これは当然のことであろうかと思います。ただよくわかりませんが、いま検察当局で調査中のようでございますが、いやしくもああいう不正な事件が県内に起こつておるということは大変に遺憾なことでございます。司法当局の取り調べその他が一段落いたしました段階で、今後の町に対する指導等も一層強めてまいりたい、かように考えております。なお泉市周辺等におきましても、いろいろ問題--お話しになりましたような公共施設のおくれの問題があるようでございますが、仙塩地域全体につきまして、最近における開発の熱度、あるいはここ数年、四、五年から五、六年にかけての開発の方向等々考えまして、その線引きの変更は、いわゆるスプロールを防ぐ意味で線引きの変更をいたすわけでございますが、そういう実態に合つたものにいたしてまいるつもりでございます。 なお、松島のゴルフ場の建設がいろんな関係で行き詰まつておるようでございますけれども、私も詳しいことは存じませんが、これが計画どおり実現できるように、発起人の方々がお集まりになりまして努力中というふうに聞いておりますので、それらの状況をなお詳しく調査をいたしまして、誤りのない方向で土地が活用されますように、県としてもひとつ十分の指導を加えてまいりたい、かように考えておる次第でございます。 ○議長(木村幸四郎君) 三十三番曽根冨二男君。 ◆三十三番(曽根冨二男君) 再質問いたします。せつかくの答弁があつたわけでありますが、落ちている問題もありますので再質問をいたします。 第一は、今回の予算補正に当たつて国の直轄事業の関係で、地元負担金を既に当初予算において約二十七億円計上されております。この問題について私は御質問したわけでありますが、いずれ総額では六十億を若干超えるだろうと思われますが、既定の県単事業を削つてまでも景気浮揚というもとに一〇〇%の消化をするという、それぐらいの実は立場に追い込まれているとするならば、国の責任である直轄事業の負担金については、既定予算化されている二十七億円を、むしろこの機会に政府に対して処置をさせるとか、あるいは長期の負債に肩がわりさせるとか、そういう形で--あるいは繰り延べ、繰り越し支払いにするとか、こういうことでこの二十七億円を県単事業に使つてはどうなのですかということを実は御質問したわけなのです。この点をひとつ、本議会で間に合わなければ十二月議会にでも復活のお気持ちはございませんかと、こういうことなのです。 二番目は、地方公務員の人件費の問題でありますけれども、いま多くは言いませんが、宮城県の職員の給与水準というものは、決して平均以上のランクにあるのではないのであります。また今回の国家公務員人事院勧告にしたところで実質一〇%を割つているわけであります。県の人事委員会はいかような勧告が出るかわかりませんけれども、恐らくそれを上回ることは、まずいままでの各県の例から見てないだろうと思います。しかしいずれにいたしましてもこういう実態にあるのでありますから、基本的にはやはり国に対して所要の財源を望むとか、あくまでも人事院勧告を完全に実施しなければならぬという、そういう実情にあることを、やはり基本的に私は知事の御認識として理解されているのかどうか、その辺疑わしいのでお尋ねをいたします。以上二点であります。 ○議長(木村幸四郎君) 知事山本壮一郎君。  〔知事 山本壮一郎君登壇〕 ◎知事(山本壮一郎君) 答弁漏れがございまして恐縮いたします。 国の直轄事業の負担金でございますが、お話しのようにことしの財政運営--下世話な言葉ですが、財政のやり繰りの中で、ひとつどうするかという問題が確かにございます。それからもう一つ、今後の財政構造の問題で、曽根議員が御指摘になつたように、そういうものを廃止さす。この二つの問題があるわけであります。しかし現にいま、現在の法律制度のもとにおきましては負担金が必要であることは事実でございます。現に直轄の事業いろいろ国にやつてもらつていますので、いま負担金、既計上のものを補正して減に落としてしまうということにつきましては、国の直轄事業といえどもやはり景気浮揚に役立つものでございますので、この点については補正減にすることは差し控えたわけでございます。今度の追加の三十数億の問題とこの二十七億の問題をどういうふうに執行するかは、これからひとつ考えさして--なかなか公的な場でちよつと申し上げにくい点もございますけれども、当然私の頭にある問題でございます。 なお、もちろん人件費の問題につきましては、国にいわゆるこの財源措置につきまして努力はいたすつもりでございます。これは先般も冒頭申し上げたとおりでございます。それらの結果を待つて慎重に検討いたしてまいるつもりでございます。御了承いただきたいと思います。 ○議長(木村幸四郎君) 四番中村健一君。  〔四番 中村健一君登壇〕
    ◆四番(中村健一君) ただいまお許しをいただきましたので、既に通告してあります総合食糧政策についてお伺いいたしたいと思うのでございます。初めての質問でございまして、多少緊張してもおりますし、また質問の要領も十分には心得ておりませんので、あるいは的外れの点があるかもわかりませんけれども、お許しをいただきたいと思うわけでございます。 去る八月の末に農林省から公表されました総合食糧政策、これは従来の経済成長に追随した農政から世界的食糧需給の長期展望に立つて、国民生活の安定と国家の安全保障という観点から、食糧の自給度を高めようという発想の転換であり、ここに大きな意義があると思うのであります。すなわち昭和五十一年度を初年度とし昭和六十年に至る間に食糧の自給率を七五%に高め、また国内生産に限界のあるものは輸入の安定の確保を図ろうとするもので、今後十カ年における農政の基調とも言うべきものであります。更にまた今後の政治の中心課題になり得るわけであります。いま発表されたばかりでございまして、しかも五十一年度からの問題でございますから、質問も時期尚早かとも感じたわけでございますけれども、明年度の予算要求の時期でもあり、多少はかかわり合いがあろうと思いまして質問いたす次第でございます。 今後この総合食糧政策に対処していく上に、今日までの農政の足取りと総合食糧政策が打ち出される背景について考察してみることも、あながちむだではないと思いますので、一応述べさせていただきたいと思うわけでございます。 昭和三十六年に農業基本法が制定されまして、これが農業の憲法であると言われながらスタートしたのでございますが、それから十数年、その間の経過を見ますと、激しい社会情勢に対応し切れず、高く掲げました目標もそれとはうらはらに自立専業農家の育成は、オール兼業化の方向をたどり、「兼業栄えて農業滅ぶ」とまで憂慮され、他産業との所得格差の是正は逆にますます乖離いたしまして、作物の選択的拡大は米一辺倒となり、食糧需給のアンバランス拡大に進んだのであります。その原因はどこにあつたか、農業構造の変化による農地法の不合理性、あるいは自作農的土地所有の二重性、そしてまた、あるいは雇用条件の不安定など、いろいろな複合的な原因があつたと思いますけれども、その底を流れるものは、従来の生活維持的農業生産構造を商品生産的経済部門として産業的に確立し得る農業生産構造に切りかえる政策、つまり従来の保護主義的農政から経済合理主義的農政に転換することにあつたのであります。また、国民の食生活のパターンが欧米型に志向することのみに力点を置き、畜産、果樹こそ成長作目であるとして、それ以外の作物の生産拡大には耳をかさなかつたばかりか、麦、大豆に至つては縮小すべきであるとしているところに問題があつたのであります。そして更に昭和四十五年、基本農政にかわつて総合農政が発足したのでございますけれども、これまたその中身は米の生産調整のためのおつき合い農政、米の生産縮小のための転作奨励に焦点を合わせた農業再編成政策だつたのであります。果たせるかな、生産調整は全国的に見て目標をほぼ達成したのでございますけれども、一方において転作の奨励、麦作の奨励はどこへやら、大豆、トウモロコシも次第にその影をひそめていつたのであります。そして政府が最も力を入れました基盤整備も、しよせん機械利用の促進をしたにとどまりまして、転作促進には結びつかなかつたのであります。転作の条件を改善するための土地改良は若干進んだものの、転作作物の流通、価格政策に計画性がなかつたために物はできたけれども不採算である、採算がとれない、あるいは初年度に成功したけれども次年度は失敗であると、そういうようなケースが非常に多く、わずか一、二年の間に米作に逆戻りし、かけ声だけの転作奨励に終わつたのであります。これを称して米退治農政と言われるのも、半ばうなずける気がいたすのであります。そこへ、財界、経済界の人々の経済合理性から生産性の低い日本農業を捨てて、世界で最も水準の高い重化学工業によつて立国すべきであるとし、日本農業不要論さえささやかれるに至つたのであります。しかしこの経済合理主義比較生産説なるものは、アダム・スミス以来繰り返され出てきた理論でございまして、御本尊のイギリスでも、かつて七つの海を制覇した十九世紀末において農業不要、合理主義政策をとつたのでございますが、失敗に終わりまして、第一次、特に第二次大戦においては、食糧不足のため飢餓寸前の苦杯をなめ、その体験から食糧生産保護政策に切かえまして、経済合理主義で農業・食糧問題を処理することは非常に危険であるという警告をしておるのでございます。そしてここ数年来国際的な食糧需給が窮迫いたしまして、一昨年のアメリカの大豆規制によつて、日本の伝統的食品である豆腐、納豆、みそ、しようゆなど一連の値段の暴騰騒ぎ、輸入飼料高騰による畜産危機などを契機として、食糧の海外依存がいかに不安定かつ危険なものであるか現実に立証されたわけであります。アメリカがかぜを引けば日本がクシヤミをすると言われる日本経済、まして人間の生存にとつて不可欠の要素である食糧とあれば、クシヤミごときでは済まされない深刻な問題なのであります。自然の支配から脱却し得ない農業生産の不安定性、予測される異常気象、現にソ連、アフリカあるいはインドなどで、異常気象の影響を受けておるわけでございますが、もしアメリカが異常気象によつて凶作に見舞われたら、あるいは物はあつても港湾労務者のストライキが長期化したならば、あるいは、世界のどこかで戦争が起こつたとしたならば、考えてみれば、ローマクラブの警告する人口増加と食糧のアンバランスの未来を待つまでもなく、極めて短期的に危機は存在しておるのであります。石油を武器としたアラブ攻勢に、一も二もなく屈服した石油の消費国日本であります。現在世界最大の食糧輸入国である日本が、もし食糧攻勢に遭遇したならば、壊滅的な打撃を受けることは必至であると思うのでございます。あすにその危機が訪れないということを、だれが断言できるでありましようか。食糧の海外依存によつて一時的な経済の繁栄はあり得たとしてもしよせん水盤に生けたる花でありまして、萎縮枯死するときがくるのは明白であります。少なくとも農業が経済合理主義で律せられるとしたならば、それは農業の破滅を意味するものと考えなければならないと思うのであります。 さて、これまで過去の農政について批判的な見解を述べてまいりましたが、いまここで過去の農政のあり方についてその功罪をただし、その善悪を論じようとしておるのではございません。総合食糧政策が提起された背景を検討しながら、前車の撤を踏まないよう転ばぬ先のつえといたしたいからでございます。 さて、総合食糧政策は国際的に食糧需給不安定の中で、三木総理はこう言つております。我が国の食糧、農業政策に長期的な政策がなく国民の不信を買つてきたが、これから農民が安心して協力できるしつかりした長期政策を打ち出すと発言して、これまでの基本法農政、そして続く総合農政の場当たり的な政策への批判と反省の上に立ち、また安倍農林大臣も守りの農政から攻めの農政に転換を表明し、更に今日まで食糧の国内生産自給に極めて消極的であつた政府も、その必要性を強調するに至り、財界、経済界人も、あるいは農政学者も、経済が高度成長する過程において農業を衰退に追い詰めた経済政策の誤りを認識しておるのであります。言うならば総合食糧政策は、官民の合意的構想と見てよかろうと思いますし、将来に向かつて永続性のある政策であるという受けとめ方をしてよろしいかと思うのであります。昭和五十一年から六十年まで食糧農産物の自給率を計画的に高めようとする十カ年計画、このような長期政策は、道路、港湾などの十カ年計画は建設省にはおりましたけれども、農林省としては初めてのものであろうと記憶しておるのであります。このように長期かつ計画的に、農政の最重点として、食糧の国内生産にてこ入れをすることを約束した政策も異例であり、農政即食糧政策という感さえするのであります。そこでかような情勢の中で東北七県知事会がみずから提案しております「東北は日本の食糧基地」という考え方と位置づけからして、総合食糧政策、なかんずく食糧自給率の向上については、宮城県の果たすべき役割りはまことに大きく、長期的展望に立つて真剣に取り組まなければならない問題であると思うのであります。 そこで質問の第一点でございますが、昭和四十五年から行われました米の生産調整には、知事は米の単作地帯という特殊性と農民の立場を理解されて一律強制的割り当ては避けて半ば農民の自主的調整に任せ、みずからその矢面に立つて農林省とかけ合つたということを聞いておりますが、米産県の知事として面目躍如たるものがあり、高く評価されておるところであります。しかし総合食糧政策については、いままで論じてまいりました観点から、農民の自主的判断に任せるわけにはいかないと思うのでございます。すなわち人間が生存する限り食糧は不可欠のものであり、この食糧を長期にわたつて、でき得る限り国内自給しようというのでございますから、受ける側においても長期にわたつてこの政策を定着させなければならないという責任があると思うのであります。言つてみれば、避けて通れない道であると思うわけでございます。具体的に申し上げまして、土地所有の有効利用、あるいは地域の特性による分担、転作増産すべき作目の選定、転作目標面積など、国のガイドラインに従つて市町村に配分することになると思うが、新規巻き直しの心構えで取り組まなければならないと思うわけですが、基本的にどうお考えになるかお伺いしたいのでございます。 第二は、農産物の価格体系についてでございますが、農産物相互間、特に米価との格差が大きいために、米以外の需要増大する農産物への転換が阻害されてきたことは何人も否めない事実でございます。そこで各種農産物間の相対的価格の均衡が問題となるわけでございますが、米価が高過ぎるという考えは論外でございまして、他の農産物価格を米価に近づけ、あるいはそれ以上に引き上げることが問題の解決策であると思うわけでございます。単に農業者の使命感とか、あるいは農業の持つ価値感に訴えるだけでこの問題を解決しようとすることは、百年河清を待つに等しいものと思うわけでございます。いま農家が国民所得の総所得の中でどれだけの配分を受けているのか、昭和四十七年の統計でございますけれども、日本総人口の中で農業就業人口が一三%、所得は国民総所得の四・七%、ちなみにイギリスは農業就業人口が三%でございますけれども、所得もまた国民総所得の三%を受けておるのでございます。他産業勤労者と平等の配分を受けており、所得格差は全くないのでございます。日本の場合、結果的に言うならば国民所得の不平等配分であり、農産物と工業製品の不等価交換とも言えるのであります。大まかに計算いたしましても、他産業勤労者を一〇〇といたしますと、農業勤労者は三六%の所得配分しか受けてないことになりまして、他産業との大きな格差があるわけでございます。そこで申し上げたいことは、生産者に対して生産費を補償することは当然のことでございますけれども、いま申し上げましたような大きな所得格差があるのでございますから、生産費プラス所得補償ということが当然考えられなければならない問題だと思います。米価の問題は所得補償も考えられておりますけれども、しかしその出てくる数字は所得平均算出方式と同じ数字が出てくるわけでございまして、そこに本当の所得補償方式を取り入れてないということもうかがわれるわけでございます。農業者にも他産業並みの労働報酬を与えるという原点に立つて考えるならば、これを単に農業労働生産性が低いからだということだけに押しつけることは余りにも冷酷であり、所得のより公正な実現を目指して、社会的にも認められるよう主張し、努力をしなければならないと思うのでございますが、いかがなものでございましよう。知事に農産物価格の決定権がないことは承知しておりますので、質問してもらちが明かないと思いますけれども、我々の主張がこうだということを了解していただき、今後そういう方向に向かつて努力していただきたいと思うわけでございます。 第三点は、農産物の生産を増大するには、生産技術の向上と相まつて、土地の絶対面積の拡大も大事なことであります。未利用の山林原野の開発もさることながら、現在の限られた既耕地の高度利用も考えなくてはならない問題であります。水田の裏作も一つの方法ではありますけれども、米の生産過剰という現時点において、思い切つて田を畑に転換する。そして自給率の低い大豆、麦類、あるいは飼料を計画的に生産する。もし米が足りなければ水田に戻す。いわゆる田畑輪換できる耕地づくりを進める意思はないでしようか。これは圃場整備あるいは土地改良を行う時点において、特に灌漑排水、暗渠排水などの施工施設に創意工夫をこらし、地下水を低下させる方法によつて畑地に転換できる水田地帯が相当にあると思うのであります。また米価と他の農産物価格との相対的均衡がとられるならば、実現はさしてむずかしいものではないと思うのでございます。ある程度の財政負担は伴うことでございますが、いままで米に注ぎ込んだ投資を考えるならば、それくらいの財政投資は当然のことと覚悟しなければ、総合的な農業の発展は期し得ないと思うのでございますが、この点について所信をお伺いいたしたいと思うわけでございます。 第四点は、総合食糧政策の中で転作の戦略作目は、大豆、麦、飼料作物になると思うのでございますが、これらの生産性の向上とコストダウンを図るためには、品種の改良、あるいは機機化による省力多収栽培など、各種の実験研究の結果に待つところが極めて大きいものと思うのでございますが県の施設である農業センターあるいは原種苗センター、畜産試験場など各分野においてそれに対応する態勢ができておるのでしようか。もしできてないとするならば、当然これらの整備を急がなければならないと思うのでございますが、知事の所見をお伺いいたしたいと思うわけでございます。 以上四点について、極めて抽象的な質問でございますけれども、お答えいただければ幸いだと思う次第でございます。私の質問を終わります。 ○議長(木村幸四郎君) 知事山本壮一郎君。  〔知事 山本壮一郎君登壇〕 ◎知事(山本壮一郎君) ただいまの中村議員の御質問にお答えを申し上げたいと存じます。 お話しがございましたように、最近総合食糧政策を政府が取り決めまして、これに至ります経緯等につきましては、中村議員詳しくお述べになつたとおりでございます。私どもも実は農家の皆さん方にいろいろと生産面の指導を申し上げます場合に、これまでのようにいろいろ食糧の自給度を上げていくというような基本の政策のなかつた時代、言われますようなその都度政策が変わる。農家もお困りになれば、仲に入つた我々も非常に苦労したものでございますが、まあようやくにしてといいますか、昨今の世界的な食糧事情の問題もございましよう。何ようもこれまでの高度成長の時代の一つの反省であります、金さえ出せば何でも安いものが入る、こういう安易の考え方を改めまして、食糧という大事な資源をできるだけ国内で自給度を高める、こういう考え方に立つた政策が確立されましたことは、まことに喜ばしい限りでございまして、まさにお話しがございましたように、食糧問題一つ考えますにも、その他の地域の開発の問題を考えますにも、私はかねがね強調いたしておることでございますが、単なる経済合理主義だけにとらわれるものではなしに、むしろ必要の原則というものがもう一つあるはずです。我々が地域づくりを進め、あるいはまた食糧問題を考えます場合に、そういう必要の原則に立つた政策がこれまで余りにもなさすぎた。我々一地方で声を大にしてそれを訴えてみましても、なかなか国の政策として出てこなかつた。今回のこれなどは、言うまでもなく、お話しがございましたように、そういう一国の安全保障的な考え方といいますか、要するに必要の原則から出たものであろうかと存じます。これによりまして一応の農業生産の長期の展望が開けたことは望ましいこと、けつこうなことでございますが、実は先般も農林大臣と対談の機会がございましたときに、私はこの問題の総合的な長期展望、ビジヨンをお出しになつたことは大変けつこうであるが、これを実現するためのいろいろな実現手段を確実に整えてもらいたいということと同時に北海道から九州まで細長い日本の国でございます。気候も違えば、風土も違えば、また農業の技術の蓄積も違う。我々のところはかねてより国を挙げて工業化、経済合理主義に流されておつたときから、東北は食糧基地としての役割りを果たすのだということを言い続け、またそういう施策を取り続けてきたのである。この長期の総合食糧政策を実現する中で、地域性、逆に言うならば米を中心にした東北、宮城県の位置づけをはつきり出してもらいたい、我々はそれに基づいて今後の食糧基地としての機能、役割りを従来以上に完全に果たしていきたいということを強く要望をいたし、また農林大臣もそれにつきましては、その方向で努力をすることを答えておつたのでございますが、そういう今後食糧政策、この総合政策を実現するために、なお我々としましては多くの努力を必要とすると存じますので、今後とも皆様方の御協力をいただきたいと存じます。 そこで御質問でございますけれども、生産調整につきましては、お話しのように、私どもは自主調整が正しいと、こういう立場を貫いてまいつたのでございますが、総合食糧政策の実施に当たりましては、いま申し上げましたように、まず政府がそれぞれの地域性に立脚いたしましたそれぞれの地域の担うべき役割りをはつきりさす必要があろうかと存じます。そういう中で、これまでどおり米の主産地としての機能、役割りを果たしてまいりますと同時に、米以外の食糧につきましても、我々のところで可能なものはできるだけ増産に励んでいく、そういう一つの方向づけはしてまいらなければならないと存じます。また政府がそういうガイドラインを出すものと存じます。しかしこのガイドラインを私は市町村別に、あるいは農家別に強制的に割り当てをする意思は持つておりません。一つのガイドラインといたしまして、指導方法といたしまして、この地域は立地条件から言つてこういうものをもつとお作りになつたらどうでしようかと、そういう御指導は申し上げるつもりでございますけれども、その辺はやはり農家の皆さん方の自発的な御意向とあわせましてこの物事を決めてまいりたい、かように考えておる次第でございます。そういうことになればなおのこと、第二点で御指摘になりましたように、米もさることながら、米以外の作目についての価格政策が重要になつてまいります。この間もその点はよく農林大臣にも話しておきましたのですけれども、せつかくこれまでいろいろな転作等を進めてまいりましたけれども、それは転作の例の奨励金があるからおやりになる、奨励金がなくなればやめてしまうと、米に戻ろうとする傾向が非常に強いわけでございます。やはりしつかりした価格というものが、麦なり大豆なり、その他になければ、なかなか言うべくして、そういう他の食糧、あるいは作目への定着はむずかしいと思います。この点につきましては、農林省におきましても従来とは違つた考え方を持つておるやに承知をいたしておりますけれども、今後本当に、この米並びにその他の食糧の自給率を高めようとするならば、いまお話しがございましたように、しつかりした価格政策、そして農家がそれを作ることによりまして他産業並みの所得が確保されると、こういうことが前提条件になろうかと存じます。 それから第三の土地の高度利用のお話しでございますが、これも大変ごもつともな御意見でございます。私どもの方は、どちらかというとこれまでお米が中心であり、米作に頼つてまいりました地域でございますので、土地基盤の整備その他も水田が中心になつてまいつておりますけれども、やはり限りある日本の農地で、できるだけ多くの食糧の自給をしていこうということになりますと、当然現在の耕地を高度利用してまいる必要がございましよう。そういう中で田畑の輪換ができますような基盤の整備、灌漑排水、暗渠排水等を行うことは、今後の課題としてどうしても取り組まなければならない問題であろうかと存じます。この点につきましては、もちろん政府の施策としてこれが打ち出されるというのがあろうかと存じますけれども、両々相まちまして近県そしてまた農業者の皆さん方ともに、この点につきましてはそういう方向で努力を惜しまないつもりでございます。 なお転作の、例えば大豆なり麦なり、その他の飼料作物等につきましても、お話しのように、本県の土地なり、風土なり、気候なりに向きます品種の改良なり、機械を使つた栽培技術、こういうものの試験研究が必要であることは申し上げるまでもございません。農家の方々にすぐに普及できるような、本県に合つた品種の改良、あるいはまた栽培の試験、こういう点につきましては、現在ございます試験研究機関相互に相連絡をとりながら、できるだけ農家の皆様方に喜んでいただけるような、またそれが有利に働きますような技術の開発に努力をいたしまして、これを普及員を通じて普及をしてまいる、こういうことによりまして、この総合食糧政策の担い手として大きな地位と役割りを果たすべき本県の農業の今後の振興に資してまいるつもりでございますので、今後ともひとつ中村議員さんを初め皆様方の御指導をお願い申し上げる次第でございます。 ○議長(木村幸四郎君) 暫時休憩をいたします。   午後二時三十六分休憩    ------------------------------   午後三時九分再開 ○議長(木村幸四郎君) 休憩前に引き続き会議を開きます。質疑、質問を継続いたします。九番斎藤堯君。  〔九番 斎藤 堯君登壇〕 ◆九番(斎藤堯君) 質問に先立ちまして、知事さんが去る六月入院加療後無事健康を御回復なされ、議会においてごあいさつをいただいたことを心よりお喜び申し上げるとともに、今後並み並みならぬ御心労を乗り越えて、県政の発展のために御活躍を御期待申し上げるところであります。 さて、新しいふるさとづくりの定義について所見をお伺いいたしたいと存じます。県の長期総合計画の地域開発の新理念の確立という項を拝見しますと、経済成長や工業開発は福祉達成のための手段であつて、決して目標ではないと、はつきりと書いてあります。そしてふるさとづくりの理念といたしまして、県民生活優先の原則に立つて社会開発、そこに重点を置くのだ。第二として、自然系の論理を導入すること。第三として、人々の心の豊かさを高めるための望ましいコミユニテイ形成であると。このように三つの理念を説明しておるのであります。しかし知事さんは最近、高度成長がもたらした恩恵は残す必要があると説明されており、また福祉の重要部門である医療経済学の考え方から、保健投資という考え方があるわけでありますが、この考えからいいますと、経済成長と行政と医療とは一緒に並ばなければならない原則があるわけでありまして、このような考え方から見ますと、「経済の健全なる発展を期する」という項目を第四の理念として入れてこそ高福祉社会の建設が可能と考えるのでありますが、知事さんはいかがお考えでしようか。長期総合計画では経済成長率は二・三%で続くものと予想して、昭和六十年の社会経済の段階を前提として考えておられますが、御承知のとおり今日の成長はゼロ成長であります。仮に低成長三%くらいでは、十年後の失業者は何と一千万人となるのでありまして、社会不安、犯罪の増加、資源配分の不均衡、エゴの増長等、およそ高福祉社会とはほど遠い社会が形成せられるのは、これは御承知のとおりであります。したがつて新しいふるさとづくりの新しい理念の中に第四の理念を並列してこそ肥沃な県民の土壌がつくられ、そこにトータルな高福祉としてのバラ色の花が咲くものと考えるのでありますので、知事さんのお考えをお伺いいたしたいと存じます。 次に実施計画について御質問申し上げます。県の長期総合計画の第二編各論においては、第一章から第五章に分類せられておりますが、実施計画においてはこの第三章、すなわち「都市機能の集積の強化と新しい地域社会の形成」という欄が省略されておりまして、わずかにコミユニテイ形成促進事業及び公園緑地整備事業が第一章の生活環境項目に入つているだけであります。しかし仙台市、塩釜市、泉市、宮黒地区の急速な都市改造が行われているときに、広域的都市環境上、また休養地域として、また医療機関の整備地域として、あるいはまた将来の展望に立つ国際研究学園としての都市づくりの点からも、この第三章は重要な課題が今後多く抱えておる項目と考えるのでありまして、省略された理由はどのような御理由でありましようか。お伺いいたすところであります。 次に県民運動の新展開についてであります。長期計画の第三章第三節の新しい地域社会形成としての県民運動の新展開として「明るい地域社会」「美しい環境」「安全と健康」「合理的な生活」この四項目を挙げ、新県民生活運動が展開せられているようでありますが、新しいふるさとづくりが体質的に県民のすべての人に自然と入り込むためには、容易に口に上つて県政という、それが一言で理解できるようなキヤツチフレーズが必要ではないかと考えるものであります。例えば一例を申し上げますと、交通戦争に当たり「なぜ急ぐ、狭い日本をどこへ行く」これなどは極めて適確でありまして、ユーモラスな響きさえ感じて心温めるものであります。知事さんは事あるごとに金をつくるだけが企業ではない。金をくれるだけが福祉でもない。企業にも福祉にも心のこもつた安らぎのある豊かさへの努力を強調しておられます。更に、福祉の原点というものをわかつてもらうために、知事さんは「本来福祉は金ではない、心であるという原則をわかつてくれ」と、このように説いておるのであります。私はそういう観点から「心こもる企業と福祉県つくる」あるいは「やすらぎはあなたがくれる奉仕から」というキヤツチフレーズをつくつてみましたけれども、このような財政硬直の行き詰まつたときにおいてこそ県内の川柳愛好家や福祉関係者や一般県民の中から、こうしたわかりやすい、ふるさとづくりというものがわかりやすい、そしてそれが気持ちを明るくする、そういう県民新生活のキヤツチフレーズを公募するお考えはないだろうか。これが県民を明るくする勇気づける一つの県政のあり方と存ずるのでございます。 次に福祉について御質問を申し上げます。現在の福祉行政は、いわゆる弱い者を主たる対象とした事業でございますが、十年後の人口動態と今日の国民意識とをあわせ考えますときに、すなわち近き将来の福祉の担い手は若人であります。しかしその若人は人口構成の比率からいつて減少の一途をたどつております。しかも総理府の広報室の社会意識調査によると、この若人の意識は勤労意欲が低下し、物質的豊かさも同時に将来は低下する。しかしながら福祉への関心は高い率においてその充実が逆に期待されておるという意識結果が出ておるのであります。この相反する意識状態が今後とも続くならば、福祉は将来不可能であります。そこで今日よりその打開策を講じなければならない。そのために私は次の三点を申し上げます。一つには、生きた社会の対応を考え、現在と未来につながる世代間に高福祉を考えていく。あわせて人類の逆陶汰の現象を防止する福祉政策に重点を置いていくと、こういうお考えはないだろうか。 二番目に、福祉の実施に当たつては必要型、(ニード型)と要求型(デマイン型)の二つに選別いたしまして、必要型に重点を移行する考えはないだろうか。すなわち一律の機械的なバラ巻き福祉を改め、生活に福祉の手を絶対に必要とする人々にこそ手厚い保護を加えるべきではないだろうか。 第三として、貧乏を防ぐ防貧、防病、防孤立の福祉を受けている人々の社会間に不公正が派生し、県民の間に不公正是正の声が出ていると言われておりますが、この際いわゆる「ぜい肉を落とし、あかを取り去る」という知事さんの七月の講演の発言は何を指向しているのでしようか。あるいはまた政治行政に対する過度の期待といつた精神的なぜい肉とあかを取り去ることを意味しているのでしようか。この辺のところを知事さんにお伺いしたいと存じます。 次に各論の質問に入ります。まず第一に、総合衛生学院施設整備事業についてであります。現在各地にパラメデイカル要員の養成機関が設立せられて、県の温かい援助のもと自主的な経営がなされていることは御同慶の至りであります。しかし看護婦の免許を持つておる専任教諭の確保は非常に困難でありまして、そのために各種学校の設立が困難を極めておるのであります。幸い昭和五十年四月二十八日、短期大学設置基準が制定公布されましたが、それを見ますと、現在の宮城県総合衛生学院の敷地並びに建物は全くそれに該当しておりまして、これに図書館、体育館、寄宿舎並びにグランド等を追加すれば、また現在地に対する住民の要望と、更に現在地のよりよいレイアウトを考えるときに、現在地に短大設立が容易に可能であるのであります。私は将来ますます福祉要員が必要とせられるとき、パラメデイカル要員の養成と社会的地位の向上を期することは今日極めて重要政策と考えますので、現在地のよりよいレイアウト等を十分考慮の上、現在の総合学院を短大に昇格すべきものと私は考えるのであります。知事さんの御決意をお伺いいたしたいと存じます。 次に予防接種事業についてでありますが、この予防接種は生物学的薬剤であるワクチン接種でありまして、現代医学においては未解決の問題が多々ありまして、我々が厳重にして慎重な監視下においてすら一〇〇%事故発生の絶無を保障することはできないのであります。したがつて予防接種担当医が無過失責任を負わされる理由が全くないのでありますが、現実は医師のみが責任を問われておるのであります。このため医師の予防接種への参加が消極的となり、現に国の最終責任の所在を強く求めておるのが現実でありますが、そうした状況下にありますので、県内の定期、臨時、国の通達による、あるいは市町村の勧奨による予防接種、あるいは個別接種を問わず、予防公衆衛生上県民の健康ははなはだ不安な状態に置かれておるのであります。全国市長会においては、この問題と関連ある諸問題とともにその対策が講ぜられておりますが、町村においてはこれは極めて困惑している現状にありますので、知事さんは宮城県において、自治体首長の責任において被接種者の人権の擁護と担当医師の協力可能な条件をつくり出すお考えはないだろうか。この件については賠償額がますます増加して、定期、臨時、勧奨による接種等の従来の県との契約のみならず、個別接種の場合においても予防接種の性格上これは取り上げないわけにはいかない問題でありますので、国において予防接種法の抜本的改正を確立する必要があるのでありまして、これは全国知事会に働きかけて早急にその実現を図る問題と考えますので、知事さんのお考えをお伺いしたいと存じます。 次に老人対策の一部について御質問申し上げます。宮城県において昭和四十八年度より老人同居向き住宅の建設を進められ、現在まで七十戸に達し、これは老人福祉と住宅政策をマツチさせた極めて理想的なものでありまして、更に四十九年度に将監団地に建設した土地付老人向け住宅は、入居された老人がいかにも楽しく、土地に親しみを持ちながら安らぎと生きがいを感じて生活をしており、極めて好評を得ていることは、これは全国的にもユニークな試みでありまして、知事さんの卓見に心から敬意を表したいと存じます。この件については、今後も引き続き御努力を賜りたいと考えます。一方伺いますところによると、仙台市内の県営住宅の建てかえが進められるとのことでございますが、この絶好の機会に当たりまして老人のもつ特性を考慮し、この建てかえの計画の中に老人部屋を併設する設計を政策として指示するお考えはないだろうか。この老人部屋併設の構想は、日本の古来にある隠居制度の近代版であると私は考えておりまして、この件については西欧の学者も私を訪れておるのであります。つとに注目をせられているところでございまして、これは一部アメリカにおいても採用せられておるのでありまして、老人も喜び、若人が老いた親のめんどうを見てやるという自然な形を助長し、また社会連帯感を育成する上からも、老人福祉の経済上からも極めて有効な老人対策と考えます。しかしながら欠点として、総理府の五十年七月十日の青年ルール観の調査、また五十年八月三十一日発表の内閣官房老人対策室の「老いた親扶養に関する調査」等を拝見しますと、若い方は親との同居をより好ましいとする国民的合意が見られております。しかしその破綻は金銭に絡むことが多い結果と、それから老いた親は社会的責任において当然世話せらるべきものと、こういうふうな考えがありますので、私はこの老人の部屋併設の入居者助成の方策として、老人の部屋並びにその隣組となる若い世帯者家族に対して、老人福祉対策の面からも助成の方策を考えてはどうだろうか。これを知事さんにお伺いするのであります。 次に老人ホーム新設に当たつては、新しい発想を加味する必要があります。従来の無料の老人ホームは、老人だけを人工的に集めて人工的に隔離する方策でございまして、これには生きがい対策が非常に乏しい。しかも自然の現象である年とれば孫ができる。その孫と遊ぶ。しかも人生経験のこの経験を若い孫に伝えることができるという喜び、こういう老人の特権が強奪されておる--隔離されるから。これでは老人と若人の交流の場が欠けておるのでありまして、老人の心理を無視したものと言うことができます。その結果、老人は無為、孤独、疾病に追い込まれるのでありまして、現実において老人ホームの老人の七割は医療を必要とし、生理的老人ボケとなる率が統計的に増大し、したがつて、国民にむしろ老人ホームよりは病院への入院希望の傾向を生じさせるのは当然の帰結と考えるのであります。よつて私は、老人ホームは人里離れたところに新しく建てるよりは、町ができてから建てる。あるいは街の中で、しかも病院の近くに建てる。又は新しく建てかえられる公営住宅の一、二、三階に老人ホームをつくる。あるいはドクター・ナース・ケア方式で建てる方が得策と考えるのであります。その理由は、医療機関と密着しているから心身の安心感が老人にある。すぐ町に出られる楽しみがある。おばあちやんなら買い物に行く楽しみがある。だれもが自由に出入りしてくれるので、市民と、町民と一緒に生きているという実感と喜びがそこにある。かつまた老人医療費の節約に通じ、そこに働く人々にとつても、若い働く人にとつても、町の中にあるからすぐ行ける。帰りはおデートもできるという、そういう働きやすく、働きがいのある利点があるのでありまして、これこそ新しい老人ホームの型と私は提唱したいのであります。しかも老人ホームに行つて見ますと、働ける老人がいつぱいおるのです。ピンピンとした老人がおるのです。その人が何もやつていない。これではいけない。そのホームに託児所あるいは保育所を隣接し、あるいは老人憩いの家、授産所を併設すれば、そこにおのずと老人を中心とする村づくりができるのでありまして、自然と生きがい対策が可能となるのであります。そして知事さんの言うところの県民全体が老人を大切にするという心の具象化、行政化が可能になる新しいタイプと考えるのであります。しかしこれは非常にむずかしい問題でありますので、知事さんは厚生省、建設省、大蔵省に、いわゆる中央役所のセクト主義を地方自治では改めて、新しい型をモデル方式として導入するように働きかける御意思はございませんでしようか。私は老人対策の一つの方策としての老人ホーム、この問題に対し、日本的宮城県方式としてのこの老人ホームのあり方についての知事さんの御所見を伺いたいと存ずるのであります。 次に学校給食の件についてお伺いいたします。九月二十三日、教育長さんは学校給食会に対してリジンの入らないパンを配給してほしいという要請を発表されたようであります。これは県民にさまざまな波紋を投げかけております。それは従来のリジン添加は誤まつた教育給食行政であつたのか。もしそうだとするならば、リジンを従来食してきた児童に今後医学的に何らかの変化を生ずる不安が残るのではあるまいか。これは率直な県民の動揺でありまして、教育長さんはこれに明確に答える責任があると考えるのであります。そこで次の二つの私の考えを申し述べます。一つはリジンの安全性についてであります。リジンに含有されておる〇・〇六三PPBの三・四ベンツピレンは、それ自体ごく微量でありまして、毎日の摂取においても安全性は世界的に認定せられておるのであります。しかもこの三・四ベンツピレンは我々が平常食しておる食べ物の中に、リジンの中に含まれているところの何十倍、何百倍の量が含まれておるものであり、しかもこの空気中にすら含まれておるのであります。また結核菌にもそれ自体微量である故にBCGとして生体に接種せられることが許可されておるのであります。 次に、リジンの必要性についてでありますが、リジンは天然の糖みつから発酵せられたものであつて、化学的合成食品ではない。WHOまたFAOももつと人体に必要だと基準をアツプしたものでありまして、特に学童期の発育には必要欠くべからざるものであります。しかもこのリジンが不足することによりまして、必須アミノ酸とのバランスが乱れ、せつかく他の面でとられた他の必須アミノ酸がリジンの摂取が少ないことによつて低下し、栄養上のむだを生ずるのであります。特に宮城県の農漁村学童においては、必須アミノ酸が欠乏しておりまして、これは当然追加を必要とするものであります。 私は以上のように考えますので、教育長さんはこの二点を御確認いただけますか、お伺いいたしたいと存ずるのであります。 リジン中止の理由は、学童がパンを食べ残す傾向が最近ますます増大したので、学童に食べろ食べろと強制するわけにもまいらないので、子供への指導の時間的配慮から一時中止を考えたのだと、このように受けとつていいか、教育長さんのお考えをただしたいと思います。 最後に総論的な質問に入りますが、先ほど来曽根議員さんからも御質問ございましたとおりに、財政硬直ではございますけれども、新しく経済安定成長時代に入りましたので、従来の県庁職員の職務内容をそのまま踏襲するというわけには私はまいらないと思うのであります。しかしいろいろな面において、大変な御苦労を県職員の皆様にもおかけしているようでありますけれども、政治の本当の目的は、人心をうましめてはならないというところにあるのでありまして、そういう観点から県の職員の今後の士気高揚を、知事さんはどのように図つていかれるのか。この点を最後にお伺いいたしまして私の質問を終わりたいと存じます。 ○議長(木村幸四郎君) 知事山本壮一郎君。  〔知事 山本壮一郎君登壇〕 ◎知事(山本壮一郎君) 斎藤議員にお答えを申し上げたいと存じますが、冒頭御丁寧なお見舞いの言葉を賜りまして、重ねて恐縮に存じます。大変御迷惑をおかけいたしましたことを、この機会に改めておわびを申し上げたいと存じます。 第一点は、新しいふるさとづくりの定義、理念についての御意見でございますが、私どもは経済の成長発展、振興があの計画の中で不要のものであるとか、無用のものであるとか、あるいはまたおろそかにしようとかいう考えは毛頭持つておりません。ただ新しいこの計画の中で、特に生活優先の問題、あるいは環境権といいますか、自然系の問題、更にはまた心の豊かさと、この三つを開発の理念として特に強調いたしましたゆえんのものは、御承知のように本県にも昭和三十年の当初以来、数多くの開発計画、長期計画がございました。それらはいずれも、いわゆる開発が進めば、経済が発展すれば、県民所得が上がればと、そういう理念といいますか、思想といいますか、哲学で貫かれてまいつたのでございます。もちろん当時といたしましては、大変開発のおくれました東北、本県でございますので、開発を進めること、あるいはまた他地方に比べまして県民所得が劣つておると、それをせめて全国平均並みに引き上げること、それをやれば同時に非常に住みよい、幸せな地域社会が出現するであろうと、こういう発想のもとの計画を何度か立てたのでございます。その間御承知のように、日本は非常な高度成長を遂げまして、我々の地域も高度成長時代に入つてから、例えて言えば、明治以来百年間、このほしいほしいと念願しておりました大きな港もできることになりましたし、新しい交通体系の整備も着手されたと、これから考えなければならないのはやはり開発を進めること、あるいは経済の発展を図ることもさることながら、一部地域で見られますように、ただ開発だけ、経済成長だけに目を奪われた結果、その地域が非常に住みにくいものになつておる。こういう反省の上に立ちまして、我々のこれから決める新しい地域開発のあるべき理念としては、先ほど申し上げました三つのことに目標を置くべきである。ただ後ほどもお触れになりましたように、また先ほど来議論されておりますように、福祉を充実しようと思い、あるいはまた教育制度をりつぱなものにしようと思いましても、現在のように県の財政が破綻に瀕しておる、こういうことでは幾らいろいろ計画を立てましても、これは画にかいた餅になるわけでございます。県の行政というものが県民の皆さん方の経済力によつて支えられていると、こういう考え方から、高福祉社会を支える健全な経済の発展という点につきましては、あの計画の全編を貫きまして一貫した重要な高福祉社会実現の手段としてとらえておるわけでございますので、我々のそういう考え方をひとつ御理解いただきたいと思います。 なお、この長期計画の実施を確保いたしますために、三年ごとのローリングシステムをとつておるわけでございますが、実施計画は、一つのビジヨンとしてございますあの長期計画を具体に実現するための一つの財政計画的なニユアンス、性格をもつものでございます。そこで計画の本文といいますか--には、これからの、先ほど申し上げましたような望ましい社会を形成していく上におきまして、この都市機能の集積、地方都市の機能の強化、こういうものは大変大事なことであるということを強くうたつておるわけでございますけれども、実施計画に事業をそれぞれバラして三年ごとの予算を見積もります場合に、それは道路であり、街路であり、また学校、あるいは文化施設の建設であり、社会福祉の充実であり、更にはまた産業経済の発展、それぞれの分野に分かれるわけでございますので、実施計画の中にはそれぞれ分かれました事業ごとの事業の実施というものを計画をいたし、それの成果を見ていただく、こういうアフターケアの仕方をしておりますが、ただなるほど疑問を提出されてみますと、計画の本文で大事な問題として取り上げたものが、この実施計画の中では各部門に分かれてよく実績がつかめない、こういう欠点もございますので、今後アフターケアと申しますか、計画の進行管理の便に資する意味におきまして、御注意のございました点は、何らかの方向で明らかにしながら大事な都市問題に取り組んでまいりたい、かように考える次第でございます。 それから第三点の県民運動の展開の中で、県民の皆さん方にわかりやすく我々の地域社会づくりを御理解いただき、御参加をいただけるようなキヤツチフレーズを公募する考えはないか、こういう御質問でございますが、大変けつこうな御提案でございます。現在の新県民生活運動の中で毎年それぞれ重点目標を決めまして、それぞれに小中学生から募集いたしました標語等使つておるのでございますが、なお県民の皆様方からそういう適切なフレーズを出していただきまして、そして私がかねがね強調いたしておりますように、我々の地域社会づくり、これはそこにお住まいになつていらつしやいます県民みんなが知恵を出し合い、力を合わせてつくり上げていくものであり、そういう意味での県政への参加、県民総参加、こういうことを強調いたしております関係から申し上げましても、大変にけつこうな御提案でございますので、真剣に取り上げてまいりたいと存じます。 それから福祉の関係で、これもいろいろと建設的な御意見をいただきましたことを感謝申し上げたいと思いますが、お話しがございましたように、例えばお年寄りの福祉を考えましても、これはいまの元気な働く人たちの負担において行われると、そういう意味でお年寄りの問題はお年寄りだけの問題ではない、若い人、あるいはそれに続く人たちの問題であると、こういう世代間を超えましたコンセンサスといいますか、福祉への参加といいますか、それに対する理解といいますか、そういうものがもつともつと定着しなければならないであろう。また斎藤議員もお触れになりましたように、これは単なる施設や金だけでは片づかない。お互いの地域社会の中での麗しい心の連帯、そういう愛の手によつてこれは支えられるものである。こういう考え方からいたしまして、より一層地域住民の皆さん方に、世代を問わず福祉に対する関心を高めていただきますようなあらゆる方策を今後研究をし、また実効の上がる方法を考えてまいりたいと思います。それと同時に福祉見直し論というものが今日盛んになつております。それはこれまでの高度成長の時代の中で、表現はやや極端になろうかと思いますけれども、要求すれば与えられるがごとき風潮が一部になきにしもあらずであつて、それは福祉の分野でもそういうことがあるということを識者から指摘を受けております。高度成長時代に私どもはいろんなものを一部において手に入れました。行政に対してものを言う風習等も、この時期を定着さす上におきましての一つの一歩前進だつたろうかと思います。しかし安定成長の時代になりますと、あれもこれも訴えさえすれば、求めさえすれば手に入ると、こういうわけにはまいらないと思います。やはりたびたび申し上げるようでありますけれども、県民みんなの負担において行われております自治の行政の中で、行政サービスと県民、住民の負担というものは常にリンクされておる。こういう点につきましても厳しい選択というものが出てこなければならないと思います。福祉の中で、そういうことで仮に二つにお分けになりました必要型と要求型、本当に社会全体としてまず手を差し伸べなければならない福祉の対象者は、一体だれであるのか。こういう選択を我々も、また県民も一緒になつてしなければならないと思います。そういう意味で優先順位、重点をどこに移すかと、こういう問題が当然出てこようかと思います。なお防貧、防病、防孤立、これらの中に不公正がありとするならば、我々はその不公正を見出し、それの是正の努力をしなければならないと思います。先ほども申し上げましたように、高度成長の中で私どもは後に残すべきものも手に入れましたが、同時にまた大変なヒズミや不公正も生んだのでございます。そういうヒズミを直していく。不公正を是正していく。あるいはまた失われましたものを取り戻す。こういうことは安定成長の時代の中で当然取り組まなければならない課題であろうかと存じます。なお私は、この高度成長の中で知らず知らずのうちに身についたぜい肉やあかを落とさなければならないということを常々申しておりますのも、行政の中にもございましよう。個人の生活の中にもございましよう。また企業--大小を問わず企業経営や活動の中にもそういうものがあるはずでございます。これはそれぞれの立場の人が、やはり時代の動きというものを正しく認識しながら、落とすべきぜい肉は落としていく、だれも肉は切りたくない。切ると痛い。しかし痛い痛いと言つて放つておきますと、これは大変なことになる。手術を受けたからそういうことを言うわけではございませんけれども、そういうお互い覚悟をいたしまして少々の痛みはがまんしても、ぜい肉を落とす努力はしなければならぬと思います。そういう中で、先ほどお触れになりましたように、求めさえすれば与えられる、そういうものが一種の政治や行政に対する甘えとしてあるならば、これまたお互いが反省して改めなければならない点であろうかと存じます。 なお総合衛生学院におきましては、パラメデイカルの要員の養成に当たつておりますが、これを将来内容を充実いたしまして、短大の機能にまで高めたいと、こういう計画、構想は長期計画の中でも明らかにいたしておるところでございますので、現在の場所がいいのかどうか--教育環境の問題、その他いろいろございましよう。今後その方向で努力をいたしてまいるつもりでございます。 なお、予防接種におきましては、お話しがございましたように非常にむずかしい問題が発生いたしております。これはしかし最終的にはやはり公衆衛生上予防接種が必要であるとすれば、不測の事故をやはり国が責任をもつ、こういう体制を一日も早くつくることが望ましいことでございますので、お話しの予防接種法の改正を今後強く国の方に働きかけをいたしてまいるつもりでございます。 また老人対策といたしまして、同居住宅的なもの、あるいはまた老人ホームにつきましても大変に建設的な御意見がございましたので、今後の課題として真剣に取り組んでまいるつもりでございます。 学校給食の問題は教育長からお答え申し上げることにいたしまして、最後に財政硬直化の県政、あるいはまた、これから安定成長に移つてまいります非常にむずかしい転換期にあるわけでございますので、私を初め県の職員一同心を新たにいたしまして、この際一体県政というものが何のためにあるのか。県庁や県の職員は何のためにいるのか。こういう原点、基本に立ち返りまして、謙虚にみずからの仕事に全責任を尽くし、そしてまた県民にこたえ得る県政の推進のために士気の高揚を図つてまいるつもりでございますので、皆様方の御指導をお願い申し上げたいと存じます。 ○議長(木村幸四郎君) 教育長津軽芳三郎君。  〔教育長 津軽芳三郎君登壇〕 ◎教育長(津軽芳三郎君) 学校給食に関する問題につきましてお答えを申し上げます。 必須アミノ酸としてリジンが必要であること。発育期の児童生徒にとつては特に必要であること。また給食用パンに強化いたしておりましたLリジンが何ら心配のない、安全なものであることにつきましては、お話しがありましたとおり、私どもも従来から、また現在もそのとおりであるというふうに確信しておるところでございます。したがいまして、この学校給食を食べてまいりましたことにつきましては、何ら医学的な変化を来たすといつたような不安は毫もありませんし、その点については問題はないというふうに信じておる次第でございます。ただ、お話しにありましたように、せつかく強化いたしましても、これを食べない、食べ残すということでは、せつかくの効果が期待できませんし、更にこの問題をめぐつて混乱が起きるといつた恐れも感じられましたので、これを一時中止することにいたした次第でございます。御了承を賜りたいと思います。 ○議長(木村幸四郎君) 七番亀谷博昭君。  〔七番 亀谷博昭君登壇〕 ◆七番(亀谷博昭君) お許しをいただきまして教育問題を中心として質問をさせていただきます。 初めに、いわゆる福祉見直し論につきまして、先ほど来斎藤議員と知事の質疑なんかもありまして、一部重複する部分もありますが、私の提言も含めまして所信を申し上げ、知事のお考えを承りたいと存じます。 福祉見直し論は、効果的な福祉政策を行う上での反省という意味ではもちろん必要なことでありますが、私はむしろ問題なのは福祉に対する考え方であろうと思います。何でもしてもらいたい、また行政も過剰サービス的に住民の要求には何でもこたえなければならないと思い過ぎてきた。私は、いま県財政が逼迫してきたから見直し論が出てくるということではなくて、県民に、いわゆるボランテイア精神を思い起こしてもらうことが何よりも大切であろうと考えるのでございます。行政も懸命の努力をする、同時に県民一人一人が地域社会に対して何ができるのかということを真剣に考えていくことが必要なのであります。昭和四十四年十月に発行されましたある雑誌に、山本知事が、「県民総参加の県政とは、県に何かをしてくれることを期待する前に、県民がより住みよい地域社会を建設するために、何ができるのかを考え、行動を通じて県政に参加してもらう姿勢をさしているのである。」という一文を載せておられますし、今議会でもたびたびそういう御説明があつたのでございます。そこでこういう時代にこそ、自分が地域社会に対して何ができるかという意識を持ち合い、一人一人の力を合わせて住みよい宮城県をつくり上げていく、つまり県民総ボランテイア運動の発想と実行が必要だと考えます。そういつた運動を含めて、県民に県政への理解と積極的な協力を求めるにはどうしたらよいのか、同時に県民からの盛り上がりをどう図つていつたらよいのか、県政運営にかかわる知事の基本的な考え方を承りたいと存じます。 次に青少年の教育問題についてお伺いをいたします。次の世代を担う青少年教育の重要性につきましては、今さら多言を要しませんし、知事が非常に積極的に諸施策を推進しておられることも承知をいたしております。しかし、いわゆる縦割り行政の影響を受けまして、青少年教育が住々にして一貫性に欠け、総合的な効果を上げていないうらみがございます。あるものは民生部であり、またあるものは教育庁、更に農政部、商工労働部、生活環境部、更には警察とさまざまに分かれているのであります。より実効の上がる青少年教育行政展開のために、その一体化を図る必要があるのではないでしようか。生活環境部の青少年室が調整の役割りを果たすことになつているようでありますが、各部ごとの思惑もあつて、現実の姿は必ずしもその目的を達しておりません。青少年の非行防止が叫ばれ、青少年教育の重要性がつとに認識をされてきております今日、国の機関との関連もあつて動かしがたい部分もありましようが、やるべきことは望ましい方向に向かつて断固進めるという気概を持つて、一歩を踏み出していただきたいのであります。青少年室に青少年教育関係の事業と、それに伴う予算の管理と調整の機能を、はつきり位置づけるお考えがあるかどうか知事のお考えを伺いたいと存じます。 次に、社会教育のあり方と、教育の中における位置づけについて私見と提言を述べてみたいと存じます。我が国の教育は、明治以来いわゆる文字の読めない人をなくすことと、それから学問を教えることに主眼を置いた学校教育が主体になつてまいりました。しかし近年、画一化された学校教育に対する深い反省の中から、人間性を育てるという考えのもとに、学校教育、社会教育、家庭教育、その他あらゆる教育を統合したところの生涯教育の理念が生まれ、これまでの教育の考え方の幅を広げた新しい発想が求められているようであります。戦後すべての考え方の土台になつてまいりました民主主義の履き違えからくる功利主義、個人エゴイズム、あるいは経済成長がもたらした、生活の安定からくる安易な逸楽を求めるせつな的な傾向、こういつたものを是正し、新しい方途を求め、真に力強い社会をつくりあげていくためには、生涯教育の考え方こそまさに必要なことであり、その効果的実践は第三の教育改革とも呼び得るものだと考えるのでございます。そこで生涯教育の推進を前提として、社会教育のあり方と、教育の中における位置づけについて二、三の質問を試みたいと存じます。 そもそも教育には学校教育と社会教育の両面がありまして、この二つは、車に例えれば教育の両輪でありまして、どちらにも同じように力を注がなければならないということは既に御案内のとおりでございます。日本国憲法第二十六条第一項の「すべて国民は法律の定めるところにより、その能力に応じてひとしく教育を受ける権利を有する」という条文は、ひとり学校教育のみならず、社会教育についても機会均等を定めたものと解するべきでありますし、また教育基本法第十条「教育は不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負つて行われるべきものであり、教育行政はこの自覚のもとに教育の目的を遂行するに必要なる諸条件の整備確立を目標として行われなければならない」という条文も、また教育行政が学校教育のみならず、社会教育のためにも諸条件の整備確立を目標として行われるべきであると解釈すべきであります。長々と条文を引用いたしましたのは、教育とは学校教育と社会教育の二つを並列させて進められるべきであるという教育の基本的な精神を、まずもつて確認をしたかつたからでございます。この認識に立ちまして、本県の社会教育の現状を見てみますと、教育委員会事務局つまり、教育庁の本質的な考え方、あるいは機構や予算等疑問な点が多々あるのでございます。そこでまず教育庁内の組織、機構についてお伺いをいたします。「揺りかごから墓場まで」という言葉は、福祉にだけ当てはまるものではなく、教育は連続しなければならないという意味において、教育にもそのまま当てはまります。したがつて社会教育の受けもつ分野も成人婦人教育、青少年教育、芸術文化、文化財、視聴覚教育等の広い範囲に及んでまいります。これらの多方面にわたる施策、事業をより効果的に推進するために、私は教育庁内の機構改革を提案いたしたいのでございます。現在教育庁には八つの課が置かれておりますが、そのうち管理部門と考えられるのが三課、学校教育主体の課が三課、社会教育中心の課が二課でございます。これをはつきり管理部、学校教育部、社会教育部の三部制にされたらいかがでございましようか。そうすることによつて管理部と学校教育部は現在の課をそのまま当てはめて十分だと思いますが、社会教育部門の充実を図る必要があると考えるのでございます。つまり、現在の社会教育課と文化財課のほかに、仕事の内容、重要性からいつて、青少年教育課等の新設が必要だと考えるのでございます。ちなみに他県の例を見てみますと、富山県では既に一年前から学校教育、社会教育の二部制をとつておりますし、静岡県では二部制はとつておりませんが、社会教育に関する課は青年教育課、幼少年教育課を含めて四課であります。現在の宮城県が、さまざまの面で学校教育偏重の考え方とシステムに立つている現状を改めるために、一つの案を提示いたしたわけでありますが、社会教育の位置づけと機構改革の必要性をどうお考えになられるか、明確な御答弁をお願いするものであります。また機構改革の必要性をお認めになられますならば、どのような過程で具体化を図つていかれるのかもあわせてお伺いいたします。 次に社会教育に対する考え方と社会教育主事についてお尋ねいたします。本年度社会教育課発行の「宮城県社会教育の方針」の中に、「近年における社会教育の特徴は、施設を中心とする社会教育活動の重視である。いうならば施設が教育する時代に入つたのである」というくだりがございまして、施設中心の社会教育という考え方が述べられているのでございます。施設をつくり、そこに人を集めて教育するという考え方は、各人が自主的に物事を考え、行動するところから始まるという社会教育の本質を忘れたものであり、教え育てるという指導的な立場に立つたものの考え方であります。社会が急激な進歩発展を遂げつつあり、未来への志向どころか現実への対応も困難になりつつある現代社会を考え、また高度経済成長を遂げる過程において、物質的に安定した生活と、精神面との不一致が指摘されていることなどを考えますと、もつと広範囲に地域社会に根ざした地域社会教育を推進する必要があると考えますが、教育長の御見解を承りたいと存じます。そういつた形でより広範囲により多くの人々を対象にした社会教育を考えてまいりますと、実務に携わる社会教育主事の問題が出てまいります。昭和三十四年の社会教育法の改正によりまして各市町村に社会教育主事を設置することになりました。本年四月現在宮城県では七十四市町村全部に設置されることになつており、全国平均の八〇%を大きく上回つております。しかし現実の姿は、例えば富谷町がまだ欠員のままですし、設置されている八十名の社会教育主事の中に、三十三名の他の仕事との兼任者が含まれているのであります。現場の実務は仕事の性格上まことに広範多岐にわたつております。各市町村の事情も種々あろうかと存じますが、県が必要な措置を講じてでも早急に専任化を図るべきであると考えます。社会教育主事の専任化と増員についてどう考えておられるのかお伺いいたしたいと存じます。同時に県の派遣社会教育主事についても年々増員はされてきているようでありますが、まだ絶対数が不足をいたしております。その点もあわせて、今後の御計画をお伺いいたしたいと存じます。 最後に昭和五十一年度から実施が予定されております、いわゆる学区制問題について三つほど質問をさせていただきたいと存じます。仙台学区二分割の考え方は数年来の懸案でありましたが、それぞれの立場の人々におのおの意見があり、今回教育委員会の五十一年度実施という決定はありましたが、いまだ関係者のコンセンサスを得られていないのが実情でございます。そこでまだ明確にされていない部分についてお尋ねをいたします。まず第一にお尋ねをいたしたいのは、完全実施は五十一年度であり、五十年度、つまり来春は指導期間だということになつておりますが、この指導期間についての考え方であります。来春は、これまでと全く同じ考え方で、二分割にとらわれず、自由に志望校を選択できるのか、あるいは最終的には受験をするのはどこでもいいけれども、その決定までに二分割を意識した進路指導が行われるのかを明確にしていただきたいのでございます。何年度から実施されるのかということで大きな動揺を来たしたのは事実であり、受験生の心理的な重圧は想像以上のものがあろうと思われます。来春の受験生にとつて、この指導期間というのはどのような意味を持つのか、具体的な明確なお考えをお示しいただきたいと存じます。 次に、南北両学区の定数不均衡の問題についてお伺いいたします。既に御案内のように仙台南学区には五校が配置されておりますが、男女共学の向山高校と宮農高秋保分校を除きますと、男子は仙台一高の三百六十名、女子は二女高の三百六十名と三女高の四百五名となつており、男子の募集枠が、女子に比べて約三百名少なくなつております。また仙台北学区は、当分の間オープンになつております仙台高校と仙台三高の理数科を除きますと、男子は仙台二高の三百六十名、仙台三高の三百十五名で、女子は一女高の四百五名となつており、南学区に比べて逆に女子の募集枠が男子に比べて約二百七十名少なくなつてきております。北学区には男女共学の泉高校も含まれているわけですが、共学校の場合、どうしても男子の数の方が多くなつてくる。そうするとますます北学区は女子にとつて狭き門になつてくるわけですが、この不均衡をどう是正してゆかれるのか、調整の仕方によつては二分割の意義が薄れてくることも予想されますので、はつきりした方向をお伺いいたしたいと存じます。 最後に他学区との相互乗り入れについてお伺いをいたします。仙台を二分割いたしますと、宮城県は郡部で十四学区になるわけでありますが、相互乗り入れを認めている学区を考えますと、事実上八学区になつております。ここでお伺いいたしたいのは、そのうち仙台の南北学区にかかわる部分でございます。仙台南学区は亘理名取学区と、また北学区は塩釜学区、黒川学区とそれぞれ相互乗り入れが認められております。そうしますと実質的な学校数は仙台南学区は七校、北学区は八校ということになります。更に宮農高跡の長町高校あるいは来春開校予定の多賀城高校などを含めていきますと、もつと多くなつてまいります。今回の二分割が、一学区は六校程度が望ましいという文部省の考え方に沿つて実施されることを考えますと、早晩また分割の必要性に迫られるのではないかと危倶をいたすのでございます。高校間の格差是正と受験戦争緩和をねらつて実施される新しい学区制の意義を考えますとき、これからの高校増設にどう対処していかれるのか、他学区の切り離しという考え方もありましようし、仙台学区を更に分割するという考え方もあると思いますが、二分割に当たつてのこれからの展望と、学区制のあり方についてお答えをいただきたいと存じます。 これをもちまして私の質問を終わります。 ○議長(木村幸四郎君) 知事山本壮一郎君。  〔知事 山本壮一郎君登壇〕 ◎知事(山本壮一郎君) ただいまの亀谷議員の御質問にお答えを申し上げたいと存じます。 第一点は、福祉見直し論ということを、むしろ県民総ボランテイア運動に切りかえるようにと、こういう御指摘でございます。私も県政のお世話役を長年お引き受けをいたしておりまして、他の地域に負けない少しでも明るい豊かな住みよい郷土をつくつてまいりたい、そういう中で小さいお子さんからお年寄りに至るまで本当に、ここで生まれ、ここで教育を受け、ここで活動し、安らかな老後を送ることに、言いしれない喜びと生きがいを感じていただけるような、そういう郷土をつくりたいということで、毎日及ばずながら努力をいたしておりますが、そういう中で最近特に感じますことは、そういう地域社会づくりを県民総参加の姿勢でもつてやりますには、県民一人一人に地域についての愛情を持つていただき、そしてそれぞれのお立場で地域に対してできることをやつていただく、つまり参加をしていただかなければならない。これは先ほども申し上げましたように、県民総参加ということを基本の姿勢にいたしておりますが、それを促すのも、いま亀谷議員が詳しく後ほどお触れになりましたように、まさに社会教育の充実にあるのではないかこれはいささか御批判を受けるかもしれませんが、私は最近県庁の部課長の諸君に、社会教育は本来教育委員会の所管であり、また社会教育の専門家のお仕事であるが、同時にまた我々県の職員が福祉の行政を進めるにも、あるいはまた道路、橋梁をつくるにも、商工の振興をいたしますにも、あるいは流通消費対策に取り組みますにも、社会教育的な行政運営、県政の進め方、つまりなぜここに道路をつくらなければならないのか、なぜお互いの力を結集して福祉をやらなければいけないのか、そういうことを県民お一人お一人に御理解をいただき、御参加をいただかなければ、言うべくしていい地域社会ができないような気がいたします。そういう意味で私は、いま社会教育が軽んぜられているのではなかろうかという御懸念でございますけれども、私は少なくとも県の職員全部が、そういう意味では社会教育を担当しておるのだと、またそれが本当の自治の運営の姿ではあるまいか、こういう姿勢で職員に、そういう態度を今後も強くとつてまいりますように指導してまいりたいと思います。その点はひとつ御理解をいただきたいと思います。そういう中で特にあすの郷土を背負つて立ちます青少年の教育姿勢につきましては、かねてから特に力を入れておるつもりでございます。ただ県の機構となりますと、これはいろいろなつくり方がございますが、いずれの機構をつくりましても、やはり機構だけで物事が解決しない点がございます。問題は分かれております機構をいかに機能的に統合していくか、総合化していくか、つまり横の連絡をどこまで十分お互いがとるかという運営に私は問題があるのではないのかと思います。そこで青少年の教育の問題につきましては、この青少年室がございますので、この機能を今後も強めてまいりまして、十分横との連絡をとり、また予算や事業の執行に整合性がとれますように、強化の方向で努力をいたしてまいるつもりでございます。御了承をいただきたいと存じます。 なお、社会教育、プロパーの問題、あるいは社会教育主事の問題あるいは社会教育施設の問題、学区制の問題等につきましては、教育委員会の所管でございますので、教育長からお答え申し上げます。 ○議長(木村幸四郎君) 教育長津軽芳三郎君。  〔教育長 津軽芳三郎君登壇〕 ◎教育長(津軽芳三郎君) 最近生涯教育ということが叫ばれまして、お話しのありましたように、社会教育が非常に世間的にも注目されて、御鞭撻をいただいておりますことを非常にありがたく思つております。お話しのありましたように、社会教育活動というものは、地域住民の中から自発的に出てくるものでありまして、社会教育主事の仕事も、そういつた地域住民の方々の御要望に応ずる施設、講座、授業等を提供する、またそういつた相談に応ずるものであります。こういうふうに私どもは理解をいたしまして、ふだんからそういつた形で、この社会教育に当たるように指導しておるところでございます。そこでこれに対応する教育委員会の機構が若干手薄ではないかと、こういうお話しがございます。そういつた面もあろうかと思いますので、早速検討をしてまいりたい、こういうふうに存じます。また市町村におきます社会教育主事の配置につきましては、大体五十二年度ころまでに百名というつもりで、その配置を考えてまいりました。毎年四十人くらいずつ社会教育主事の資格を新たに持つ者を養成して、これに対処してまいつてきておるところでございますが、県の派遣社教主事の制度とも絡ませ、また国庫負担の制度とも絡ませて、これが充実に当たつてまいりたい、こういうふうに存じております。 次に、学区制につきましては、先ほどお話しがありましたように仙台学区を二分割いたしましたけれども、急激な変化を避けるために、五十一年春の入学試験につきましては、南と北と相互乗り入れを認めたわけでございます。したがつて従来と全く同じというふうに父兄並びに受験生はお考えをいただいてけつこうだと思いますが、その志望校の選択に当たりましては、この二分割の制度を十分お考えをいただきたい、こういうふうに存じております。また五十二年度以降につきましては、お話しのありましたように、南北で非常に募集人員の差がございます。したがつて現在高等学校あるいは中学校あるいはPTA等の方々に御検討をお願いしておりますけれども、そういつた不公平のないように早急にこの結論を出していただき、来年度以降に対処してまいりたい、こういうふうに思います。 それから塩釜学区、亘理名取学区、あるいは黒川学区等の切り離しにつきましては、この南北学区の調整とあわせて御検討をいただいております。お話しのありましたように、この周辺学区に、新しい高等学校ができますことと、それから交通機関あるいは地理的な条件等を勘案して、お話しのあつたように切り離し、あるいは一部おりるといつたようなことも含めて御検討を願い措置してまいりたい。いずれにいたしましても、二分割といつた制度の趣旨が損われないように、かつまた父兄なり受験生に不満を残さないような形で調整措置を考えてまいりたい、こういうふうに存じますので、御了承を賜りたいと思います。 ○議長(木村幸四郎君) 残余の質疑、質問は明日に継続することにいたします。    ------------------------------ △散会 ○議長(木村幸四郎君) 以上をもつて本日の日程を全部終了いたしました。 明日の議事日程は追つて配布いたします。 本日は、これをもつて散会いたします。  午後四時三十分散会...